上智大学の校舎
上智大学の四谷キャンパス 出典:pixta

上智大学が提供する多様な学び

 司会:まず、自己紹介をお願いします。

 Aさん:経済学部 経済学科3年生です。現在は、ミクロ・マクロ経済を学んでいます。関東の県立高校出身で、一般選抜の共通テスト併用方式で受験しました。共通テストと学部学科試験の受験が必要で、高校3年生から東進ハイスクールに通っていました。

 Bさん:国際教養学部 国際教養学科3年生です。現在は、美術や文化などの分野を中心に英語で学ぶ、比較文化コースを専攻しています。私も関東の県立高校出身で、公募制推薦で受験しました。高校1年生からトフルゼミナールという英語特化塾に通い、対策していました。

 Cさん:文学部 新聞学科3年生です。現在はジャーナリズムコースを専攻し、メディア報道などについて学んでいます。九州の県立高校出身で、指定校推薦で入学しました。塾は地元の集団予備校に通って、学校の勉強を補っていました。

 司会:上智大学とその学部を選んだ理由は何ですか?

 Aさん歴史に影響する経済問題に関心があったからです。高校時代は文系で、世界史と日本史を選択していました。その中で、各国の経済状況の変化が歴史に反映されていることに気づき、この興味を経済の視点から深掘りしたいと思いました。正直に言うと、上智は第一志望の滑り止めだったのですが、当時の私は“ソフィア”という響きに引かれたんだと思います(笑)。

 Bさん:響きは大事だよね(笑)。

 私は、やはり上智はグローバルな印象が強かったからです。幼少期から英会話スクールに通っていたこともあって、英語力を活かして学びを広げていきたいと思っていました。初めは他の大学も考えていましたが、上智の国際教養学部はオールイングリッシュの環境がより強いこと、学びながら専攻を決めるカリキュラムだったこと、学部の人数も少なめで雰囲気が自分に合っていたことなどから、高校1年生の時に「ここだ!」と決めました。

 Cさん:高校1年生で志望校を決めたのは、早いね。私は高校3年生だったな。高校2年の頃は、言語に興味があったので東京外国語大学も考えていたのですが、卒業後、どんな仕事に結びつくのかイメージがつかめなくて。そんな時、中学生から「記者になりたい」と思っていた夢を思い出し、新聞学科なら実現しやすいと思って決めました。キャンパス内にテレビセンターがあることも魅力的で、「テレビ局の記者になれるかも!」とも思いましたね。

得意を活かして苦手を補う、受験方式の賢い選び方

 司会:受験を決めてから、どのように受験方法を選びましたか?

 Aさん得意な国語、英語、歴史をできるだけ活かせる受験方法を探していて、共通テスト併用型に決めました。この受験方式では、2月上旬にある数学の記述式の学部学科試験に、共通テストで高得点だった科目の得点が加味され、総合的に判断して合否が決まります。経済学部を受験するにあたって、どうしても数学は必須になるのですが、私は苦手だったので、得意科目でカバーしようと考えました。

 Bさん:国際教養学部には、書類選考入試と公募型推薦の2つがありましたが、私は公募型推薦で受けました。書類選考入試は、出願前にSATという共通テストのアメリカ版を自分で受験する必要があり、さすがに英語で数学を受験する自信はなくて。

 Aさん:それって書類選考じゃないよね、もはや(笑)。

 Bさん:はい(笑)。公募型推薦の出願には、①TOEFL83点以上またはIELTS6.5以上、②学校の評定4.0以上、③英語の自己推薦書の3つが必要でした。私は、TOEFLは過去に受けたことがあり、トフルゼミナールでも対策がより充実していたので、IELTSではなくTOEFLで受験することを決めました。

 IELTSで出願する人もいましたが、全体的にはTOEFLで出願する人が多かった印象です。そして出願後、11月下旬に英語のエッセイの記述試験と面接があって、12月上旬に合否が出る形でした。

 Cさん:私が受けた指定校推薦は、出願には①学校の評定が4.0以上、②英検2級の2つが必要でした。学校内の推薦枠を勝ち取ることができれば、面接はありますが基本的には合格できる方式です。

 Aさん:高校入学時から指定校推薦を視野に入れていたの?

 Cさん:いや、指定校推薦を決めたのは高校3年生の出願間際でしたね。私も、当初は受験を考えていたので、9月頃に学校側から話を聞いて、初めて指定校推薦の制度を知ったんです。日頃からコツコツ勉強していたおかげで出願資格を満たすことができたので、親と先生と相談して出願を決めました。合否が出たのは私も12月上旬でしたね。

※TOEFL…アメリカ合衆国のNPO「教育試験サービス (Educational Testing Service; ETS)」が主催する非英語圏出身者対象の英語力証明テスト、IELTS…日本英語検定協会が運営する海外留学時の英語力証明テスト。

自分に合った塾選びは、合格への第一歩

 司会:受験に向けて、塾はどのようにして選びましたか?

 Aさん:3つの塾を転々としていました。高校1年の前半は、英語が強い大学への進学を考えていたこともあり、Bさんも通っていたトフルゼミナールに通いました。でも、塾の校舎がとても少なく、家から通うのが大変で。

 Bさん:それはわかる! 私も、家から塾まで片道1時間半くらいかかった。オンライン授業もあったけど、対面で教えてもらいたかったので、親の送り迎えのおかげで何とか3年間通えました。

 Aさん:大変! 私はオンラインを受けてみたけど、質問に対してすぐにフィードバックがもらえないのがもどかしかったことと、英語特化塾なだけあって授業の内容が難しかったことから、高校1年生の後半には高校から自転車で通える個人塾に移りました。そこは主に自習室として使い、勉強の習慣を身につけました。でも、私は実力以上の大学を志望していたので、難関大学の受験に詳しい先生から学びたいと思って、高校3年生で東進ハイスクールに通い始めました。

 Bさん:その時々で、自分に合う塾を模索していったんだね。

 私は合格に向けて「TOEFL100点以上」という目標があったので、一般的な塾で英語の勉強をするより、TOEFLの対策に特化したいと思っていました。その点、トフルゼミナールは、TOEFLで必要な4技能(Reading・Listening・Writing・Speaking)を十分に学べるし、何より過去の合格実績も高かったので、ここに決めました。

 Cさん:私は、高校3年生まで塾には通わず、学校と友人に頼ってコツコツ自分で勉強していました。小中学生の頃に通っていた塾は、成績公開や順位によるクラス分けがあって、それがモチベーションになっていたんですが、高校生向けの塾ではそれがなかった。競い合う環境が欲しかったので、物足りなくて辞めてしまいました。そこから、自分に合う塾をなかなか見つけられなくて。

 Bさん:最終的には見つけられた?

 Cさん:実はあんまり(笑)。でも、自分で勉強しながら受験を意識するにつれて、学校で問題の解き方を学んでも、それが入試で使える解き方とは限らないことに気づきました。そこで、当時の友人が多く通っていた地元の予備校に入塾。予備校なので浪人生が多く、現役生には少しアウェーな空気感があったのですが、他の塾と比べて雰囲気が一番良かったので、そこにしました。

東進、トフルゼミナール、集団予備校の正直レビュー

 司会:塾に通ってみて、良かった点を教えてください。

 Aさん:東進ハイスクールは、とにかく過去問が豊富な点ですね。私は、志望校の過去問10年分をパックで買って、ひらすら繰り返していました。時間は有限なので、難関校を目指すなら、その過去問はマスト。東進は過去問を中心にして、場合に応じて別の参考書でその他を補うという、効率的な勉強ができたのでありがたかったです。

 Bさん:トフルゼミナールは、やはりTOEFL対策が充実しているところです。塾には、TOEFLの過去問やその参考書がそろっているので、自分で他に参考書を買う必要はほとんどなかったですね。英語に特化しているからこそ、先生からの情報共有も手厚いし、質問もしやすい。あと、学生の人数が少なめなので距離も近く、お互いに切磋琢磨して頑張れる環境だったなと思います。

 Cさん:私は、地元の予備校でしたが、効率的な解法ポイントを教えてくれる点が、学校より優れていたと思います。例えば、学校では英語の単語や文法などの基礎が重視されるけれど、塾では「この表現があったら、次はこんな内容が来ることが多いよ」など、英文の“読み方”を教えてくれる。おかげで問題を解くスピードが上がりました。

 Bさん:私は少人数の雰囲気が好きだったけど、予備校だと集団授業だよね? そこに関してはどうだった?

 Cさん:集団塾だからこそ、周りの学生の学力を肌で感じられる刺激はプラスでした。例えば、授業中に当てられた時など、「私はわからないけど、あの子はわかるんだ」という気づきがあって、頑張ろうって思えるし。

 司会:逆に、良くない点はありましたか?

 Aさん親には感謝ですが、授業料の高さかな。でも、その分得られるものはあるので、難関校を目指す人は、お金がかかっても大手に頼るべきだと思いますね。

 あと、ぶっちゃけ、チューターの方にはもう少し疑問点を解消してほしかったな。対面ですぐに質問できるのはありがたかったけど、たまに解決しない時があったのは残念でした。

 Bさん:チューターって学生だもんね、難しいよね。

 私は、校舎が少ないところと、授業が長いところだと思う。特に授業は1コマ100分もあるので、休憩がないまま集中し続けるのは少ししんどかった(笑)。

 Cさん:100分! 上智の授業時間と同じだ。それは疲れるね(笑)。

 私は、集団塾は人数が多くて放任な部分があるので、自分で計画を立てて勉強を進められる人にはおすすめですが、一人ひとりの学力をしっかり見てほしい人には合わないかも、と思います。

合格の秘訣は、徹底した予習と復習の繰り返し

 司会:合格に向けて、どんな勉強をしていましたか?

 Aさん:毎日、5~6時間くらい勉強していました。苦手よりも得意を伸ばそうと考えて、英語・国語・歴史の記述試験対策に力を入れました。記述ができれば共通テストで解けない、なんてことはないですしね。

 対策としては、言語系はとにかく同じ単語帳を愛用していました。例えば、英語は音声付きの『システム英単語』を使っていて、日常的に耳からも触れていました。歴史では、学校の先生が作ってくれる授業プリントが役立ちました。時代の流れや穴埋めで単元ごとに振り返られるようになっていたので、過去問と行き来していました。苦手な数学は、『青チャート』より手軽な旺文社の『標準問題精講』を使い、模試の復習をしていました。

 すべてに共通しますが、とにかく同じものを何回も繰り返して定着させることが重要だと思います。

 Bさん私も過去問に注力しました。TOEFLの過去問の他に、上智の試験に活きたのは、早稲田大学の国際教養学部の過去問でした。1日3~4題を解き、1つの過去問を3周しましたね。

 3年の夏から始めたエッセイ対策では、長文を読む力の他に、適切な単語や言い回しを使って自分の意見を書く力も必要になります。長文を読んでエッセイを書き、添削をもらってまた書くの繰り返しで、とにかく量をこなしていました。塾に通う頻度も、1・2年生の頃は週1回でしたが、3年生では週4〜5回通っていましたね。

 Cさん私は、学校の授業の予習をコツコツ続けていたことが活きました。得意だったのは英語で、授業で使う長文の中で、わからない単語や文法を徹底的に調べて、授業で何を聞かれても答えられるようにしていました。紙の辞書を使って黄色のマーカーで印をつけていたのですが、最終的には辞書が真っ黄色になるくらい(笑)。

 Aさん:すごい! 逆に苦手な科目はどう勉強していた? 全教科で評定4.0以上って大変そうだけど。

 Cさん:苦手な科目はやっぱり数学。高校1年生の時は赤点を取りそうだったし(笑)。学校では『青チャート』を使っていたのですが、予習してもまったくわからないことが多くて。朝、学校で数学が得意な友人に解説してもらったり、先生に質問しに行ったりして勉強しました。期末テストも毎回頑張っていたので、その蓄積で、自然と学力はついてきたと思います。

明るい未来に向けて、先輩から一言!

 司会:最後に、受験生に応援メッセージをお願いします。

 Aさん:ついに、そんなことを頼まれる立場になったなんて(笑)。

 そうですね、勉強と学校行事の両方を大事にしてほしいです。私は、勉強に打ち込みすぎた部分があったので。日常の一つひとつを大切にすると、振り返った時に宝物になるし、もし志望校に合格できなくても、悔いのない高校生活だったと言えると思います。無理せず、頑張ってください!

 Bさん:じゃあ私からは、やっぱり「受験はチームプレー!」と言いたいです。私自身、一人で抱え込んで受験がつらくなったこともありましたが、塾で友達ができてからは、互いに励まし合ったりして楽しく勉強ができました。しんどいこともあると思いますが、仲間と一緒に乗り越えていってほしいです。

 Cさん:私は、早いうちから情報収集をすることをおすすめします。オープンキャンパスに行って大学の雰囲気を感じたり、自分は何がしたいのかを考えたり、どの大学で何が勉強できるのか調べてみたり。目標が決まれば、より頑張れると思うので、ぜひいろいろな情報に目を向けてみてください。応援しています!

【取材協力者プロフィール】
Aさん

上智大学 経済学部 経済学科 3年、東進ハイスクール、一般選抜 学部学科試験・共通テスト併用方式
Bさん
上智大学 国際教養学部 国際教養学科 3年、トフルゼミナール(英語特化塾)、公募型推薦
Cさん
上智大学 文学部 新聞学科 3年、九州の集団予備校、指定校推薦