最難関私立「開成」を目指す3人のママ
Aさん:千葉に住んでいる共働き家庭です。コロナ禍でリモートワークになったので千葉に引っ越しましたが、その後、私は毎日都内に出勤しなくてはならなくなりました。夫はエンジニアなのでリモートワークが主で、子どもの勉強を見てくれています。息子はSAPIXに通っています。
Bさん:都内に住んでいる医師です。うちの息子もSAPIXで、この春から早稲田アカデミーのNN開成クラス(早稲田アカデミーの志望校別コース、小学6年の4月から始まる)も併塾しています。
Cさん:埼玉に住んでいて、飲食店チェーン企業で働いているシングルマザーです。私もフル出勤ですね。開成を受けるかまだわかりませんが、塾からは勧められていて、本人もその気になっています。塾は地元の個人塾で、四谷大塚の準拠塾です。私自身は受験事情をまったくわかってないので、今日は勉強しに来ました。
文化祭に行くと開成に入れたくなる
司会:みなさんの息子さんが開成を受けるきっかけは?
Aさん:うちは夫が中学受験で開成に不合格だったんですよ。それで息子に夢を託しているようです。ただ、開成って物理的に、意外に千葉からのアクセスが悪くないじゃないですか。麻布や駒東だと通学が旅になってしまいますが、開成なら6年間通える距離なので、私も本人が望むなら応援したいという感じです。
Bさん:私の周りには開成出身者が多いのですが、謙虚な人が多いですね。幼い頃から優秀な同級生に囲まれているからだと思います。夫も私と同意見で、受験には協力的です。
Cさん:お二人とも熱心なんですね。うちは全然違って。近所に面倒見のいい小さな塾があるから、学童代わりにもなると思って入れたんです。
開智中学や大宮開成とかに入れたらいいなと思っていたら、偏差値が上がって、塾から勧められて開成の文化祭に行ったんです。そうしたら、本人が「開成に行くんだ」と言い出したという感じですね。
Bさん:うちは正直、小学5年の時に苦戦して、開成にはちょっと手が届かないかなという感じになりました。でも、いろいろな学校の文化祭を見て回りましたが、開成が一番魅力的かなと思いました。
Aさん:そうみたいですね。夫も同じことを言っていました。うちの子が転んだらすぐに生徒が駆け寄ってきて、立たせてくれたとのこと。文化祭を見ると開成に入れたくなるんですよ。
Cさん:ものすごく混んでいるので、私は二度と行きたくないですけどね(笑)。物理部の子が熱心に呼び込みをやっていて、「じゃあ、見ようか」と思ったんですが長蛇の列でした。
Bさん:お友達と行けばいいんですよ。去年の秋、文化祭の日に私は仕事があったので、SAPIXのお友達のママに息子も連れて行ってもらいました。申し訳ないなあと思ったら、向こうが「いいのよ。子どもだけで並ばせればいいから、あなたの息子くんも一緒のほうが私の負担も減るわ」と言ってくださって。
Cさん:確かに子どもだけで並んでいるグループはいました。なんかすごく慣れている感じでした。低学年から文化祭に通い詰めているんでしょうね。
開成受験生は低学年からフォトンやエルカミノに通うことも
Aさん:千葉だと小学4年から塾に通うのが普通なんですが、都内だと低学年からフォトン算数クラブやエルカミノといった算数塾に通いますよね。
Bさん:うちの子がそのケースです。小学2年からフォトンに通塾して、その頃から開成の文化祭に通っています。体力がついてきたので、あの混雑も楽しめるようになってきたみたいです。
Cさん:残念なことに、うちの子は開成の文化祭に一緒に行ってくれるお友達がいないんですよねえ。うちの子の塾だと埼玉の中学を目指す子ばかりなので。
Bさん:小学6年からNN開成に通えばお友達できますよ。小学6年の秋だけは友達と行ってもらえばいいんですから。
Aさん:小学6年の秋も文化祭に行くんですか?
Bさん:開成を受験する子たちは、モチベーションを上げるために文化祭に行くケースが多いみたいですよ。
NN開成は必須なのか
司会:早稲田アカデミーのNN開成の話が出ましたが、Bさんの息子さんは春から通われているそうですね。入るためのテストもハードルが高いのでは。
Aさん:NN開成の合格率は約50%です。まず、NN開成に入るのが最初の関門ですね。
Bさん:言い換えれば半分は不合格になるわけでしょう。うちの子はNN開成の真ん中ぐらいのクラスなので、正直どうなるか。
Cさん:NN開成ってあれですよね。志望校別のコース。
Aさん:今、スマホでサイトを見ていますが、「算数を鍛える、算数が伸びる、算数で勝てる、それがNN開成」って書かれています。大変そう。
Bさん:授業で全部完結させてくれるので、家に帰ってから大変ってことがないんです。そのあたりはSAPIXとは違いますね。
Cさん:四谷大塚にも開成コースはあるんですよね。そこも50%ぐらいの入塾合格率で、他塾生も多いと聞きました。うちの子は小さな塾に通っているので開成対策はしてもらえそうもないので、開成を受けるとしたら早稲田アカデミーや四谷大塚の開成対策を受けなきゃですが、お二人はSAPIXだから他塾に通わなくてもいいのでは。
Aさん:うちはSAPIXの開成対策を受講させる予定です。NN開成は西日暮里校まで通う必要があるので大変ですし。あと、SAPIXと早稲田アカで言うことが違うと混乱しそうですし。
Bさん:NN開成は面倒見がいいので、私は楽で助かっています。
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低学年・中学年時の勉強で差が出る
司会:開成を目指すとなると学習量が多く、質も高そうです。どうやって勉強しているのでしょうか。
Bさん:うちは小学4年まではフォトンにも通わせていて、小学5年から集団塾はSAPIX一本です。講師から宿題の範囲を言われますから、そこをしっかりとやらせました。算数はフォトン効果か、そんなに困ることはなかったんですが、国語は苦戦しました。小学4年の時には本の読み聞かせをさせていましたね。
Aさん:うちも、宿題はできるだけやらせるようにしてきました。最初は下位クラスからのスタートだったので、上のクラスに上がるにはちょっと頑張らないといけなかったので。
組分けテストには難しい問題も出るから、そこもちゃんと勉強させました。今は配布される「年間学習法」に沿ってやっています。過去のテキストのここを復習しろと指示が書かれているので、その通りにやれば習得できていない箇所も補習できます。テキストの整理は私の役割なので大変です。
Bさん:うちはフォトンに通わせていた効果で、SAPIXは最上級のαクラスからスタートでした。小学4年の頃は余裕がありますから、漢字や語句の暗記に力を入れていました。なので、小学4年でいかに頑張っておくかで差が出るように思いますね。特にうちの子は特別に優秀ではないので。とにかく早め早めにどんどん勉強させました。開成は400人以上の合格者を出すこともあるので、なんとかそこに潜り込めればと。
司会:Bさんは徹底した先取りをされてきたから開成を狙える位置にいらっしゃるわけですね。
公文はどこまで修了すると中学受験で有利になるか
Cさん:本気で開成を目指すならSAPIXに転塾すべきなんでしょうか? でも、今の塾に不満もなくて。「予習シリーズ」で勉強していますが、あれって全部説明が載っているから、わからないことがあってもテキストを読めば、子どもが一人でも解決できるので助かります。
Bさん:「予習シリーズ」を一人で読んで勉強できるのは相当優秀ですよ。ちなみにCさんの息子さんは、低学年の頃は何をやっていたんですか。公文だけとか?
Cさん:公文は挫折しました。ルーティンが駄目で、泣き出しちゃったんで。C教材ぐらいまでしか進んでいないんですよ、お恥ずかしい。
Aさん:うちも公文だけでしたが、算数と国語をやらせました。算数はFまで修了させました。公文の先生にはHまで終わらせると中学受験で有利になると言われましたが、方程式をやることに意味があるのか疑問だったので。
Bさん:中学受験の入試問題は、方程式だと解きにくいものも多いですからね。方程式は中学受験をするなら不要ですよね。高校受験組は先取りでやっておいてもいいでしょうけれど。
Cさん:そうなんですね。私は中学受験の問題を見ていて「方程式で解けばいいのに」と単純に思っていました。お詳しいお二人にお話を伺えてとても勉強になりました。
司会:みなさん、頑張ってください。今日はありがとうございました。
開成を目指す生徒のママたちの座談会を終えて
開成を目指す生徒のママといってもバラエティーに富んだ顔ぶれだった。最初から開成を目指す生徒もいれば、たまたま偏差値が上がったので受験してみようかなと考える生徒もいる。
三者三様の家庭環境・教育方針がありながらも、各家庭が自分たちなりに学習環境を整え、親が子どもに寄り添いながら伴走する姿勢は共通していた。工夫次第で、どんな環境からでも開成は十分に目指せるのだと感じさせられた。
※プライバシー保護のため、一部談話をアレンジしています