大学入試の3つの区分

名称 一般選抜 総合型選抜 学校推薦型選抜
推薦書 学校長の推薦不要 学校長の推薦必要
重視 「学力」を重視 「これから」を重視 「これまで」を重視
出願要件

出願要件を満たせば、どの学校の生徒でも出願できる

特定の学校の生徒しか

出願できない

備考 共通テスト利用入試も含む

(旧・AO入試)

様々な名称で実施

公募制推薦

内部進学

指定校推薦

    年内入試

 今の大学入試制度は、おおむね「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の3つに区分されています。

「一般選抜」は、保護者が大学受験を経験した際に主流であった教科学力を問う筆記試験を中心に合否を決める入試で、1月以降に試験が行われます。

「学校推薦型選抜」は、基本的に在籍校の校長先生から推薦してもらうことで受験が可能になる入試で、11月1日から出願開始、合否発表は12月1日以降に行われることになります。学校での学習成績の状況(いわゆる評定平均)や学校内外での活動実績や資格検定取得実績などが推薦の基準となりますが、出願後に小論文や面接、基礎学力検査などを課す大学もあります。

 大学が指定した特定の高校の生徒だけが出願できる「指定校制」、出願資格を満たしていれば、どの学校の生徒も出願できる「公募制」、付属校や系列校などの生徒だけが出願できる内部進学も「学校推薦型選抜」の一種です。

「総合型選抜」は、2020年度入試までは「AO入試」と呼ばれていました。AOとはアドミッション・オフィス(Admissions Office:入学事務局)の略です。大学・短大・学部・専門学校が定める「求める学生像(Admission Policy:アドミッション・ポリシー)」に合った人物を採用する方式で、9月1日以降に願書受付が始まります。

「アドミッション・ポリシー」とは、大学の教育理念、目的、特色等に応じて受験生に求める能力、適性等についての考え方をまとめたものであり、それらを選抜方法や出題内容等に反映させ、また受験生は大学の教育理念、特色等に応じ選択を行えるよう示すものです。「総合型」という名称どおり、入試の合否判定もさまざまで、書類選考・面接・小論文・プレゼンテーション・グループディスカッション・フィールドワークなど学校独自の多彩な方法で決定されています。

「学校推薦型選抜」「総合型選抜」は、9~12月に実施・合否が出ることが多いため、まとめて「年内入試」と呼ばれるようになりました。学校により考え方は異なる場合がありますが、「学校推薦型選抜」は、これまで(過去)の成績や活動実績を評価する入試であるのに対して、「総合型選抜」は、志願者が入学後や卒業後に何をしたいのかというこれから(未来)を評価する入試であると言えます。

国公立大学か私立大学かによって状況は異なる

 大学全体について入学者の選抜区分別に見ると、2016年度入試から2022年度入試にかけての6年間で、「一般選抜」の割合は7.0ポイント低下して半数を割り49.0%になりました。一方「学校推薦型選抜」は1.4ポイント上昇、「総合型選抜」は4.6ポイント上昇し、「総合型・学校推薦型選抜」での大学入学者の割合は全体の約49.7%を占めています。このように、「一般選抜」での合格者の割合は確かに減少し、「年内入試」が増加していることがわかります。

全大学 入試区分別入学者の割合

文部科学省令和4年度国公私立大学入学者選抜実施状況平成28年度国公私立大学入学者選抜実施状況をもとに東京個別指導学院が作成

 しかし、「年内入試」といっても、国公立大学か私立大学かによって入学者の割合の状況が異なります。大学設置区分別でみると、国公立大学では、「一般選抜」での入学者の割合は減少しているものの、その減少幅は私立大学よりも小さく、相変わらず「一般選抜」による入学者が主流となっています。