例えば、仕事で疲れて帰宅したパートナーに、「ねえねえ、聞いて聞いて! 今日めちゃくちゃ大変なことが起きたんだけどね……!」と高めのテンションで一方的に話したいことをまくし立てたら、相手に負荷がかかりすぎます。「ちょっと待って、まずは一旦ゆっくり休ませてよ」と気持ちも耳も閉じてしまうでしょう。こちらとしては「ちゃんと話を聞いてくれない!」と不満が溜まる。

 お互いのモードが合っていないと、双方にとって「なんでわかってくれないの?」とストレスになってしまいます。

 こんなときはできる限り、話しかけるほうが相手の気分に合わせたいところ。相手が疲れている様子なら、頃合いを見ながら落ち着いたときに。いつもの自分の声より少し低めの声でゆったりとしたテンポで話しかけてみます。

「そういえば、今日起きたこと、聞いてくれる?」とまずは前置きを。突然本題に入るよりも、ワンクッション作ることで相手の受け入れ態勢も変わってきます。

「いいよ」と返事が来ても、一気にまくし立てずに自分にとって短く感じる分量で。もし向こうが、「もう少し聞きたいな」と思ったら、質問してきますから。

 言い古された表現ですが、やっぱり会話はキャッチボール。相手のウォーミングアップができていないのに、いきなりこちらのペースで豪速球を投げ込んだら、「痛い痛い! ちょっと待って!」と反応してしまうのは当然です。場合によっては、不機嫌になったり、「ごめん、今は無理!」と逃げられてしまったり。

 ストレッチもできていない人に一方的なペースで話しかけて思うような反応が返ってこないのも、無理はありません。

声の使い分けは難しくない

「こちらが一生懸命話しているのに、思うような反応が来ない」という悩みには、「声の着替え」を試してみてください。

「どんなときも元気よく! ハキハキと!」「ゆっくり話すのが上品」など、どんな状況にあっても「私の正解」にこだわりすぎていませんか。

 自分がよかれと思ってする話し方は、相手に気持ちよく受け取ってもらうためのものでしょうか?