「世界一の都市を目指す東京の新たなランドマークの誕生をお祝いしたい」。

 安倍晋三首相は、にこやかな表情を浮かべてこう語り、森ビルの辻慎吾社長や、東京都の舛添要一知事と固い握手を交わした。

6月11日に開業した虎ノ門ヒルズ。周辺では東京五輪に向けて開発が進む
Photo by Hidekazu Izumi

 6月11日、都心と湾岸を結ぶ幹線道路の環状2号線と一体で、総事業費2340億円をかけて森ビルが開発した「虎ノ門ヒルズ」が開業した。

 地上52階建て、高さ247メートルの超高層ビルは、都内2番目の高さでまさにランドマークだ。オフィスやマンション、国際会議場などが入る複合施設で、47~52階には高級ホテル「アンダーズ東京」が入居する。オフィス階には、すでに20社程度が入居、ほぼ満室での稼働となった。

 森ビルの辻社長は、「虎ノ門ヒルズを起爆剤に、五輪やさらにその先へ向けて都心の再開発を加速する」と語り、1兆円を投じて「今後10年間で周辺の港区に超高層ビルを10ヵ所程度建てる」とぶち上げた。

 これまで虎ノ門エリアは、低層階のビルが密集し、他のオフィス街と比べて再開発が遅れていた。しかし、虎ノ門ヒルズの開業が号砲となり、街の様子は一変する。

 まず、政財界の関係者が利用することで有名だったホテル「虎ノ門パストラル」跡地には、オフィスや住宅が入居する複合高層ビルが建設される予定だ。