会議のリーダーがホワイトボードに書く

 ホワイトボードを書記に書かせる光景がときどき見られるが、これは会議のリーダーが書くべきだ。ホワイトボードは、会議の進行をリードするための最も有効な武器なので、他の人にやらせるのではなく、議論をリードしながら自分で書く。込み入った議論など、ホワイトボードに全員の意識を集中させながら、発言を確認しながら課題を整理し、皆の意見が出尽くしたところでアクションへの合意形成を進める。こうすることで、参加者の意見を十分吸い上げつつ、いつまでに誰が何を実施するという明確な合意形成ができる。

変にまとめようとせず、発言をそのまま記録していく

 会議のリーダーは、参加者の発言を変にまとめようとせず、発言をそのまま記録していく。ホワイトボードを使った会議を多数見てきたが、ほとんどの場合、参加者が発言し終えてからおもむろに短いキーワードに要約して書いている。これでは発言内容のごく一部を断片的にとらえているにすぎない。

 そうではなく、できる限り発言者の言葉通り書き留めていく。このためには非常に速く書くことが要求されるが、『ゼロ秒思考』で紹介した「メモ書き」を実践し、メモを1分で書く練習をしていれば、まったく問題なくできる。

 もちろん、話し言葉は書き言葉に直すものの、発言内容がかなり正確にホワイトボードに記録されるので、議論の進行が参加者全員にはっきりわかるし、同じ論点を繰り返す人、蒸し返す人がほとんどいなくなる。もし繰り返した場合は、ホワイトボードの該当箇所を指さして注意を促せば即座に理解してもらえる。

「発言内容を極力そのまま書き留める」というやり方はかなりユニークらしいが、会議のスピードアップにも、効果的な議論にも極めて効果的なので、ぜひやってみてほしい。聞きながら書くことは最初は戸惑うが、むしろ全部聞いてから要点だけ書くほうが内容を覚えていなければならないので大変だったことに気づくと思う。多くの人はだらだらと発言を続けるからだ。

 私のお勧めの方法だと、聞きながらどんどん整理して書き、発言者もそれを見るので、発言自体がかなりシャープになっていく。これは不思議なくらいだ。「聞いてもらった感」があると、「伝えきれない感」によってだらだら発言し続けることが劇的に減る。

わかりにくいときは、遠慮なく聞き直して書く

 発言内容によっては意味不明のこともあるし、聞き取れないこともある。そういうときは遠慮なく聞き直せばよい。ホワイトボードに真剣に書こうとしているのは明らかなので、皆、誠意を持ってわかりやすく説明してくれる。