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新NISAのメリットデメリットは?
エヌビディアに早くから注目し、昨年60%近くの
パフォーマンスを出せた理由とは?

2024年2月2日公開(2024年2月2日更新)
ポール・サイ
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新NISAのメリットデメリットは? ポールさんのポートフォリオが60%近い脅威のパフォーマンスを出せたワケを解説!

 2024年1月30日(火)、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている元フィデリティ投信トップアナリストのポール・サイさんが、ストックボイス社が手掛ける経済・マーケット番組「WORLD MARKETZ」(TOKYO MX 月~金 22時~23時)に生出演した

ポール・サイさんプロフィール

 前回の放送では、台湾総統選で与党の民進党が勝利したことを受けて、中台戦争の可能性は短期的に高まっていないことを教えてくれたポールさん。米共和党の大統領候補指名争い初戦であるアイオワ州党員集会でトランプ(敬称略)が圧勝し、トランプが大統領になる可能性がより一層高まったことにも言及した。
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 今回の放送では、前半が新NISA、後半はポールさんがメルマガで提供しているポートフォリオの昨年のパフォーマンスが話題に。新NISAのメリットデメリットや、オルカン1本に集中することのリスクなどを語り、ポールさんのポートフォリオが昨年、60%近い脅威のパフォーマンスを出せたワケを教えてくれたので、さっそくチェックしていこう。

新NISAは長期投資向けの節税できるいい制度! ただ、緊急資金を貯めてからスタートしたほうがいい

 番組冒頭、アシスタントの木村カレンさんが日本で1月からスタートした新NISAについて、ポールさんから見たメリットやデメリット、注意点を聞きたいと質問した。

 「新NISAはとてもいい制度で、ぜひ皆さんうまく活用していただきたい」とポールさん。

 ポールさんが考える新NISAのメリットは、長期投資に向いていること。長期投資は個人投資家にとって一番いい戦略で、儲かっていればかなり税金を節約できる、すごくいい制度だという。

 デメリットとしては長期投資に向いている分、回転売買には向いていないこと。そして、資金があまりない人も新NISAにそこまで向いてないそうだ。

 というのも、ポールさんは何かあったとき用の緊急資金を貯めておいたほうがいいという考えだからだ。新NISAをスタートした後、急に資金が必要になり、保有資産を売るというのは本末転倒なため、毎月の出費の6カ月分、1年分を貯蓄してから始めたほうがいいとのことだった。

オルカン1本に集中するのは、会社に対してのリスクがある。金融商品をよく選ばないと、違ったものに投資したり、手数料が割高になる

 ここで、番組MCの渡部一実さんが、新NISAでオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))を買っている日本人が多いことを、ポールさんはどう見ているのか聞いた。
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 オルカンは投資先がかなり分散していて安全と言えば安全だけれど、1本のファンドにお金を全部集中するのは、ファンドを運営する会社に対してのリスクがそれなりにあるとポールさん。

 また、オルカンは時価総額加重平均であるため、個別株の値を釣り上げてしまう傾向があり、そのあたりも注意する必要があるようだ。

 そもそも、どれくらいリスクを取れるかは人によって違い、もっとリスクとリターンを取りたい人であれば、オルカンではなく個別銘柄や他のファンドを買ってもいいとのこと。

 そして、オルカンに限らず、金融商品を選ぶ際は、中身をよ~く見る必要があるのだという。

 例えば、中国のインターネット会社やテクノロジー会社を資産に持ちたいと思って、中国の指数ETFを買ったものの、指数には銀行や国営企業が多く入っているため、当初の投資目的とずれてしまうことがあるそう。

 また、金融商品選びを間違えると、パフォーマンスは似たようなものなのに、手数料が割高になってしまうこともあるようだ。

 その例としてポールさんが挙げたのが、アクティブファンドだ。
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 手数料は基本的にアクティブファンドよりETFの方が安いのだが、あるアクティブファンドがS&P500と比べてアウトパフォームしていたとして、そのアクティブファンドがS&P500グロース指数のETFであるSPYGを保有していたら――アクティブファンドを買うよりも、自分でSPYGを買ったほうが手数料が割安になるというわけだ。

S&P500&SPYG 週足 (出所:TradingView)

ポールさんのポートフォリオが昨年、60%近いパフォーマンスを出せたのは、大手のテクノロジー会社に比重を集中したから

 次は、ポールさんの運用成績の話題に。

 ポールさんが情報配信しているメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で推奨しているポートフォリオの、昨年のパフォーマンスは58%と60%近い数字となった。
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 S&P500の昨年のパフォーマンスが30%台だったため、ポールさんのポートフォリオのほうがかなりアウトパフォームしていたことになるのだが、どんなことろに気を付けてポートフォリオを組んでいるのか、渡部さんが質問した。

 ポールさんがポートフォリオを組むうえで注目しているのは、成長しているいい会社を安く買うことだ。

 いい会社、長期で成長できる会社というのは結局、テクノロジー関係の会社になり、ポートフォリオではテクノロジー関係の会社の比重を高くしていたため、パフォーマンスが取れたそう。

 また、テクノロジーの中でも投機的な会社ではなく、日本でも「マグニフィセント・セブン(※)」と呼ばれる大手のテクノロジー銘柄に集中。それが上がったので「おかげ様でうまくいきました」とのことだった。

(※マグニフィセント・セブンとは、革新的な技術と圧倒的な市場支配力を持つAlphabet(旧Google)、Apple、Meta(旧Facebook)、Amazon、Microsoft、Tesla、NVIDIAの7社を指す)

NVIDIAを底値近くで買えたのは、株価がピークから半分以上下がり安くなったのと、AIがバブルだとしても数年間は続くと考えたから

 すると、渡部さんがNVIDIAについて語りだした。

 NVIDIAは今、株式市場でほとんど王様と言っていいような状況だけれど、ポールさんが2022年9月にNVIDIAを推奨していて、NVIDIAは確かに来ているわけで、どんなところで推奨できると判断したのか、ヒントをいただけませんかというのだ。
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 「NVIDIAは昔から注目してました」とポールさん。

 NVIDIAは2000年半ばくらいからゲームやパソコンで商品展開していて、グラフィックカード(パソコンのグラフィック処理を担当する拡張ボード)でリードをしているいい会社だと、ポールさんは目を付けていたようだ。

 また、NVIDIAの創業者が台湾系アメリカ人で、ポールさんと似たようなバックボーンだったという意味でも注目していたそう。

 NVIDIAの株価の動かすドライバーは、仮想通貨の動きとAIのトレンド。2022年末ぐらいに、利上げによる景気全体への心配からテクノロジー株全体が下落し、ビットコインもその時弱かったため、NVIDIAは下落した。株価はピークから半分以上下がったのだが、わりと横ばいだった2020年のレベルまで下がり、サポートされそうだから、買いを考えたそう。

NVIDIA 月足 (出所:TradingView)

 そして、当時はAIのトレンドがまだ始まったばかりの時期だった。インターネットバブルを経験していたポールさんは、AIがバブルだったとしても数年間は続くと考えたとのこと。自分でもChatGPTを使って「これはすごい」と感じたり、いろいろな意味が重なってNVIDIAを推奨するようなったのだ。

 下落したNVIDIAをポールさんが買い推奨した後、NVIDIAはどんどん上がっていくわけだが、渡部さんは、大きく下げた場合の平均回帰という考え方を、ポールさんはどう見ているのか聞いた。

 ポールさん曰く、アメリカの成長株は割と上下するもので、NVIDIAもピークから半値になったけれど、結局成長しているため、チャートでいうと45度みたいに上がっているトレンドに回帰するのだそう。そういう意味で、リスクをとれるのであれば、下がったところで買うのがいいようだ。

 一方、横ばいのチャートに平均回帰している銘柄や指数だと、いいタイミングで買ったり売ったり回転売買しないといけないとのことだった。

個人投資家は長期でいい会社だとわかっていれば、機関投資家が短期で売ってきたところを安く買える

 最後は、個人投資家とプロの機関投資家の情報格差の話題に。

 企業が開示している資料は同じだとしても、プロの機関投資家と個人投資家では、情報量や分析力、すぐ動けるかといった情報格差があると思うけれど、個人投資家は何を心がければいいのか、渡部さんは気になるようだ。

 ポールさんはまず、個人投資家と機関投資家で情報の多さと分析力の差は絶対にあると断言した。

 ただ、機関投資家は短期のパフォーマンスに対するプレッシャーがあって、長期の視点で物事を見る事があまりできないという側面もあるようだ。

 機関投資家は短期の情報に優れていて、例えば機関投資家が会社訪問したら、会社の雰囲気を感じることができるし、今期が上方修正か下方修正かまではわからないけど、ある程度の感触はわかるという。

 また、機関投資家はその会社のことを常に見ているため、情報も耳に入るようになっているとのこと。

 その他、5分や10分、1時間の動きで考えると、機関投資家の方がオーダーの流れを把握できたり、パソコンで分析して短期売買できるものの、そういったことは個人投資家にはできないそうだ。

 一方で、個人投資家は会社全体の流れやトレンドを見て、リスクに耐えられるなら長期保有できるところが優れているという。

 先ほど紹介したNVIDIAの下落局面で、なぜそんなに下がったのかというと、機関投資家が「誰か売ってるんじゃないか、下がったら自分のパフォーマンスがダメになる」と心配して売るのだそう。

 機関投資家はファンダメンタルズと関係ない理由で売ってきたり、短期の短期で、他の人も売ってるから自分も今売らないとダメだというモメンタムに乗りたがるようで、そうなると値段は大きく下落するようだ。

 ポールさんが昔、フィデリティ投信にいたとき、中小型株を100億とか500億売ろうとすると、1カ月くらいかけて売らないと株価に影響してしまうということもあったそう。

 そういう時に、長期で見て実はいい会社だとわかっていれば、安く買うことができるということだった。

 これを受けて渡部さんが、NVIDIAを安く買えなかったことを悔やんでいるのか、「僕も爪の垢を煎じて飲みたかったです」とコメントして番組は終了した。

 ここまで、1月30日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に電話出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオを見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。

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