台湾総統選やアイオワ州党員集会の結果を受けて、今後の中台関係や米中関係はどうなる?
元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。
今回の放送では、1月13日(土)に行われた台湾総統選や、1月15日(月)に行われた米共和党の大統領候補指名争い初戦であるアイオワ州党員集会の結果を受けて、今後の中台関係や米中関係がどうなっていきそうなのかをポールさんが教えてくれたので、さっそくチェックしていこう。
年末年始の日本旅行で感じたのは、物価の上昇
新年(2024年)初出演となった今回は、「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」とあいさつしたあと、ポールさんが年末年始に日本を旅行した話題に。
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ポールさんは東京から京都、広島、福岡、奈良に行ったあと、東京に戻り、ハワイ経由でシアトルに帰ったのだが、それを聞いたアシスタントの木村カレンさんは「なんと充実した年末年始で羨ましいです」と笑顔に。番組MCの渡部一実さんも「ハワイ経由!?」と旅の豪華さにビックリしていた。
ポールさんは去年(2023年)も来日したのだが、その時と比べて感じたのは、物価がかなり上がったこと。
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特に、京都の観光地で物価が上昇していたようで、ポールさんが彼女と一緒に普通のハンバーグ定食を食べたら2600円もして、アメリカとあまり変わらない価格だったそう。
また、京都はオーバーツーリズム(観光地にキャパシティ以上の観光客が押し寄せること)の感じもあり、結構混んでいて、一部の現地の人たちは観光客にうんざりしていたようだ。
すると、木村さんが「ちょっと日本人としては申し訳ない」とフォローしたのだが、そのコメントがなんとも日本人っぽいと感じたのは記者だけだろうか。
話をポールさんの旅行のことに戻すと、十数年ぶりに靖国神社も訪れたそうで、展示の内容が以前と比べて柔らかくなったとのこと。
以前は、第二次世界大戦での日本の正当性に重点を置いた展示だったものが、現在は、戦争による犠牲は悲しいことで、それは覚えておかなければいけないし、戦争はしない方がいいという中立の視点に修正されていて、それはいいことだとポールさんは感じたようだ。
台湾総統選で民進党が勝ち、台湾の人たちは中国の脅迫に負けないことがハッキリした
続いては、台湾の総統選の話題に。
大統領にあたる総統は与党の民進党が勝った一方、国会にあたる立法院は民進党が議席を減らし、最大野党の国民党が第1党となったのだが、この結果が中台関係にもたらす影響について渡部さんが質問した。
結論から言うと、中台戦争の可能性は短期で高まっていないとポールさん。
一番重点を置きたいのは総統選の結果であり、「中国と台湾は別」という立場の民進党の頼清徳(ライチントー)氏が総統になったことで、台湾の人たちは中国の脅迫に負けないということがハッキリしたのだそう。
そして、中台関係を考えるとき、ポールさんがいつも思い出すのが「北風と太陽」の物語だ。
物語の詳細については割愛するが、中国は台湾に対して、太陽の戦略よりも北風の戦略を多く取っており、それは得策ではないとポールさんは指摘した。
昔は、戦争で占領した土地の住民を殺して資源を取るという資源の取り合いだったけれど、現代はそういうことはしない。そうなると、人のマインドを引き寄せないといけないのに、北風の戦略を取っているのは得ではないというわけだ。
民進党が立法院で過半数を取れなかったことについては、ポールさんはそこまで問題視していない。アメリカでも大体、大統領と議会で多数派の政党が分かれるし、その方がバランスも取れるため、ねじれ議会が悪いわけでもないようだ。
また、中台戦争の可能性が高まっていない理由として、中国側の問題もあるという。
最近の報道では、中国の軍隊の汚職がかなりひどいことから、軍の幹部9人が解任されたそう。ミサイルに入っていたものが、燃料ではなく水だったというひどい有様で、中国の軍隊はきちんと戦争できるのか疑問視されたうえに、経済も弱いため、この局面で中国が戦争を起こす意味もないとのことだった。
中国と台湾、東南アジアはそもそも中華民族の国で文化もかなり近いのに、仲が悪いのは、中国が特殊な共産主義、台湾は民主主義で、政治に違いがあるからとポールさん。
以前は仲が悪かったのに、政治の変化で仲良くなった国の例として、ポールさんが挙げたのがアメリカとイギリスだ。
アメリカとイギリスは、グレートブリテン独立戦争という大きな戦争していたけれど、イギリスの政治が民主主義になってきたことで、文化の近さも相まって仲良くなり、第一次・第二次世界大戦でイギリスが攻められたときには、アメリカが助けにいったのだそう。
アジア諸国が大体ケンカしているのは少し残念だけれど、いつか平和になってお互いに助け合えるような立場に変わっていければいいとポールさんは期待している。
そして、中国が台湾に太陽の戦略を取っていけば、文化の近さで考えると台湾が中国の味方になることもありえなくはなく、それが最終的な解決方法になるのではないかと締めくくった。
トランプが大統領になる可能性はより一層高まった。司法がトランプの立候補を妨害し内戦になる話は、支持する立場で全く別物になる
最後は、アイオワ州党員集会でトランプ(氏は以下省略)が圧勝した話題に。
もともとトランプが勝つとみんな思っていたけれど、得票率が51%と過半数に達し、女性候補のニッキー・ヘイリーやフロリダ州知事のデサンティスが撤退したとしても勝てたということで、史上最強の結果になったとポールさん。
トランプはまずほぼ確実に共和党の大統領候補指名になり、大統領になる可能性もより一層高くなっていると解説してくれた。
トランプが大統領になると、ポールさんが一番のリスクと考えている中国との戦争よりも、移民や税金、政府の規制といった国内の政策に重点を置きそうで、不確定要素は少し増えるものの、マーケットにとって必ずしも悪いわけではないそう。
そのため、過度に心配する必要はないけれど、その一方で、アメリカ人の半分はトランプに強く反対しており、アメリカの中での混乱はある程度意識しなければならないようだ。
トランプの支持者の多くは、トランプが圧倒的に共和党員から支持と民意を得ているのに、司法がトランプの立候補を妨害するようなら、内戦になると見ているそうだが、ポールさん自身は内戦の可能性が高いとは見ていない。
ポールさんがいるシアトルはディープブルー(民主党圧勝地区)の州で、トランプが司法にかけられるのは当然だと言う人も周りに結構いるらしく、アメリカの見方はどちらを支持するかで立場が全く変わってくるとのこと。
ポールさんはどちらかというとインディペンデント(無党派層)で、政治のことを司法で解決すると、無限ループになって民主主義にはマイナスという見方だ。
ただ、ポールさん曰く、最近の民主主義にはもっと根本的な問題があるのだという。それは、何が本当で何が嘘かわからなくなっているということだ。
トランプはメディア嫌いで、すごくメディアの悪口を言うけれど、それがどこまで本当なのかもわからない。子供の頃から読んできた歴史が本当だと思っていたのに、大人になって振り返ると嘘だったりして、そんな状態で投票や民主主義を行っても、根本的に成り立たないということを、ポールさんは問題視しているのだった。
ここまで、1月16日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に電話出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。
冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオを見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。
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