ここ1カ月の日本株の動きは米トランプ政権に対する期待値が行き過ぎた反動といってよいだろう。これで年初来の日経平均株価の騰落率は、世界の主要国市場の中では数少ないマイナスとなった。

 ドル円が円高に振れたせいもあるが、外国人投資家が売りに回っている。2017年1月23日の本欄で「トランプ氏の大統領選勝利後、米国経済回復→米国金利上昇→ドル高円安という論理で見方が円安に変わり、(日本株が)買われた面が大きかった」「ここから株価が一時的にせよ下落すれば、それは円高と外国人投資家の売り越しを伴うことになるだろう」と述べ、2月20日の本欄では日本の企業収益の足元の伸びは前年の円高の反動にすぎない、と分析した。

 年初から外国人投資家は先物等を含めて2兆円程度の売り越し、日本銀行はETF(上場投資信託)を通じて1.7兆円程度の買い越しである(上図参照)。下値は日銀が買い、上値は外国人が売っている。よって、日経平均の年初来の上値と下値の幅はわずか5.4%しかない。通常の年で20%程度の変動幅があることを考えると、日本株市場はここから変動幅が大きくなると考えた方がよさそうだ。

 それがどちらの方向に振れるのかは何を見れば分かるのだろうか。米国の経済データの見方が鍵になるだろう。米国経済がこのまま上昇基調をたどるのか、米国の政策金利引き上げは米国景気を腰折れさせないのか、という疑問は今株式市場の注目点といってよい。