しかし「特に新しい動きはありません」と私を案内してくれた兵士は言う。北朝鮮と韓国の国旗が向かいあう軍事境界線はまるで、韓国の新大統領の出方を伺うかのように静まりかえっていた。
「中国やアメリカの利害に振り回され、翻弄されるのはうんざりです」かつて海兵隊に所属していた予備役軍人は言う。「何かが起きたとき、アメリカや日本が助けてくれるわけではありません。自国に利益があるからやっているだけです。望むのは他国によって左右されず、自ら影響力を行使できる、強い国家になってほしいということです」
朝鮮半島の問題であるのに、大統領不在であるが故に、他国にイニシアティブをとられているという不満は、与党、革新問わず共有されていた。私はソウルから車で3時間ほどの星州に向かった。こののどかな山里にミサイル防衛システムTHAADが配備されている。そこでは地元住民と軍・警察と激しい衝突が起きていた。デモの中にいた若者たちに声をかけるとはるばるソウルから来たという。
「THAADが朝鮮半島を守ってくれるものだとは思いません。アメリカは自分を守るために我が国を利用しているんです。実際、トランプ大統領は韓国に10億ドルで買えと言っている」
本記事はハフポスト日本版からの転載記事です「戦争が起きたら僕たちのような若者が戦場で生贄になるわけですよね。アメリカの言いなりにならないでほしい。平和的に対話をするべきだと思います」
大国と向き合い、言いなりにならない大統領を求める声を受けて、「アメリカに堂々と言うべきことが言える『堂々外交』をやるのはだれですか!」と訴えた文在寅氏は第19代大統領に就任した。かつて北朝鮮に融和政策をとり、あげく核実験実施をゆるすという失態を犯した廬武鉉元大統領を、側近の秘書室長として見ていた文在寅氏は、果たしてどのように金正恩委員長と向き合うのだろうか。
(ハフポスト日本版 編集主幹・長野智子)



