政府は4月21日、北朝鮮の弾道ミサイルに対する住民避難訓練を早期に実施するよう都道府県に求めた。このため各市町村だけでなく、企業、業界団体、学校などでも、ミサイル飛来時の対策が検討され、学童、保護者への通知なども行われている。これらは弾道ミサイル発射の警報が落下の4分前に出ることを前提としている。だが現実には、これまで警報を出せたのは北朝鮮が事前に発射を通告していた人工衛星打ち上げの際の2回だけだ。北朝鮮は予告なしに北海道沖、秋田沖などの日本海に向けて次々と弾道ミサイルを発射し、実験や戦力の誇示をしてきたが、それに対しては陸地で警報が出なかったのはもちろん、船舶に対する注意報が出たのもミサイルが落下した後だった。
菅官房長官はその度に「事前通告なしに発射されると、どこに飛ぶか事前に察知することは極めて難しい」と弁解してきた。実戦で弾道ミサイル攻撃をする場合に相手が事前通告をしてくれるはずがない。ミサイルの落下前に警報を出すことが至難であることを知りながら、あたかもそれが可能であるかの如き想定で対策を示し、訓練をさせるのは国民に対して不遜の極みだ。
地下鉄の運転見合わせ、発射30分後
Jアラートは情報流さず
4月29日午前5時30分頃、北朝鮮西部の平安南道(ピョンアンナムド)、北倉(プクチャン)付近から弾道ミサイル1発が発射されたが、約50キロ飛んで高度71キロに達したところで爆発、実験は失敗に終わった。