売上高を使った円高限界点でも
円高ドライブ効果は観測できるが…
〔図表 10〕の戦略利益は指数関数を内蔵しているので、〔図表 11〕のように「指数曲線を描くのは当然だ」と感じる人もいるだろう。しかし、指数関数を内蔵していなくても、それなりの円高ドライブ効果を観測することができる。例えば次の〔図表 12〕は、横軸を売上高としたケースだ。

〔図表 12〕でもやはり、各点の並びは直線ではなく、少し下に膨らんだ曲線になっている。縦軸の「円高限界点65円31銭」も、そこそこの値といえるだろう。
ただし、「売上高を用いた円高限界点」は、「戦略利益を用いた円高限界点」よりもかなり小さい値を示すようだ。それを証明するために、ニッサンについて調べたものを〔図表 13〕に示す。

〔図表 13〕にある黒色の線は、四半期移動平均の対ドル円相場を示している。その上にある2本の線は、営業利益(茶色)と当期純利益(水色)の円高限界点の推移を描いたものだ。2本とも黒色の線よりも上にあり、円高限界点としての機能を果たしていない。
また、円高の進行とともに、営業利益などの円高限界点が下降する(円高耐性が強まる)のは、どこか奇妙だ。その奇妙な理由については、第49回コラム(東芝編)の〔図表11〕のときに説明した。
黒色の線の下にある2本の線は、売上高(緑色)と戦略利益(赤色)の円高限界点の推移だ。双方の円高限界点は上昇傾向を示しており、ニッサンについては、円高耐性が弱まっていることを示している。なお、緑色の売上高は、赤色の戦略利益よりもかなり下方に位置している点に注意して欲しい。
自動車、電機業界において
「円高が進めば株価は下落する」は本当か
自動車業界と電機業界は、輸出型企業の代表とされる。円高が進めば株価は下落し、円安に戻れば株価は回復する。それは事実なのだろうか。「相場のことは相場に聞け」ということで、トヨタについて、対ドル円相場と株価の関係を〔図表 14〕で描いてみた。

相場に聞くまでもなかったようだ。〔図表 14〕は、見事な比例関係を示している。



