本連載も今回が最終回である。オリジナルの理論をあれこれ展開し、それをシステム化した「公認会計士高田直芳の原価計算&管理会計システム」(略称を「高田原計」という)をこの場で提示してきたが、それも今回が最後である。
幸いにも、ビジネスブレイン太田昭和(東証二部上場)の協力を得て、東証一部上場企業などへ「高田原計」を導入することが決定している。本連載が終了しても、他へ活動の場を求めることができそうだ。
ということで、最終回の話を進めよう。
以前、某メーカーを訪れたとき、製品勘定と仕掛品勘定を区別する基準を質問して、その回答に唖然としたことがある。「売上金額が比較的大きいものは製品とし、比較的小さいものは仕掛品とする」というものであった。
別の某メーカーを訪れたとき、「製品原価に占める材料費が50%を超えるものは仕掛品とし、加工費が増えて材料費の割合が50%以下になったら製品とする」というものもあった。「いつ完成したか」ではなく、「売上金額の大小」や「材料費の構成割合」などで製品勘定と仕掛品勘定とを区別しようというのである。
品質管理やカイゼン活動では世界に誇る日本の製造業であるが、原価計算実務に関してはまったくの「でたらめ」なのだな、と痛感した。読者の属する会社は、大丈夫であろうか。
IFRS基準では
企業の事業を語れない
そうした話の先にあるものとして、今回はヤフーを扱う。
ヤフーは製造業と無縁の企業であるから、製品勘定や仕掛品勘定がない。ソフトウェア開発などで外部の業者に委託した場合は、仕掛品が発生しているのかもしれないが。