海外市場に打って出れば、技術力でも、商品力でも、大手企業に負けない絶対の自信がある。けれど、国内市場とは勝手が違う「海外市場での戦い方」がよくわからない――。そんな悩みを抱える中小企業は少なくない。
埼玉県川口市。“鋳物の街”として知られる同市に、売上高40億円の中小企業ながら、産業界で知る人ぞ知る産業用歯車メーカーのKHK(小原歯車工業)がある。技術力に裏打ちされた品質の高さを売りに、今では米国、中国を中心とした20カ国に販路を拡大、海外進出を果たしている同社も、もともとはそうした企業の一つだった。
KHK株式会社 中原康輔氏
海外展開を担当する同社の中原康輔氏が言う。「当社は標準歯車で国内シェア7割を持っています。国内ではシェアを守る戦いをしていますが、海外に行くと、我々の知名度はゼロ。逆にシェアを奪いに行かねばならない立場です。当初は、国内と海外では事情が違いすぎて、戦い方が全くわからなかった」
なかでも、日本で成功したビジネスモデルを海外に移植し、販路を拡大していくための物流面での課題は大きかった。が、あるきっかけから“戦い方”を変えてみたところ、一気に視界が開けたという。「それまで誰にも教えてもらえず気付かなかったのですが、物流面を改革することが、中小企業の我々が大手に勝つための、これほど大きな武器になるとは思ってもみなかった」(中原氏)。
結果、同社の昨年度の海外売上高は約6億円に達し、この5年間で1.5倍に成長、今後も毎年1億円ずつの増収を見込むという。KHKの海外展開の「間違いなく競争力の源泉となっている」という物流改革とはいったいどんなものか。詳しく話を聞いた。
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