不動産が売れないのは、不動産会社が問題?
「レインズに登録」「詳細な報告があるか」など、
販売活動をチェックする4つのポイントを紹介

2017年12月10日公開(2019年1月30日更新)
ザイ・オンライン編集部

家やマンションなどの不動産を売り出しているが、なかなか売れない…。その原因は、不動産仲介会社の販売活動に問題があるかもしれない。不動産売買に詳しい価値住宅の高橋正典氏に不動産会社の販売活動が適切であるかをチェックする方法を聞いてみた。

 「いざ家を売り出したものの、問い合わせも内覧申し込みもない……」

 そんな状況が続けば、誰しも焦りが募る。住み替えが決まっていれば、なおさらだ。焦って値下げをすれば、損をすることにもなりかねない。

 「信頼できる不動産仲介会社と媒介契約を結んだとしても、その後の販売活動が適切に行われる保証はありません。正しい販売活動が行われているか、売り手自身がきちんと確かめることが重要です」。不動産売買に詳しい価値住宅の高橋氏はそうアドバイスする。

 とはいえ、不動産の素人である売り手がプロの不動産会社の販売活動をチェックするにはどうしたらいいか。ポイントを4つにまとめたので、参考にしてほしい。

(1)レインズに物件情報をきちんと登録しているか

 まずチェックしたいのは、登録が義務化されている「レインズ」(不動産流通標準情報システム)に売却物件の情報がきちんと登録されているかどうか。レインズは不動産仲介会社が利用する物件検索システムで、買い手側代理人の不動産仲介会社もレインズを利用して候補物件を探している。

 ただし、不動産仲介会社に売却の代理を頼む際の媒介契約は、

(1)専属専任媒介契約 
(2)専任媒介契約 
(3)一般媒介契約 

 の3種類があるが、それぞれ対応が違っている。

 (1)専属専任媒介契約 は売り手が1社とだけ契約を結び、他の不動産仲介会社には代理を依頼できないというもので、売り手が自ら買い手を見つけても直接は契約できず、依頼している不動産会社を通じて契約を結ばなければならない。こちらは、媒介契約締結の日から5日以内にレインズに登録する義務がある。

 (2)専任媒介契約 は売り手が1社とだけ契約を結び、売り手が自ら買い手を探してもいいというもの。媒介契約締結の日から7日以内にレインズに登録する義務がある。大半の契約はこの「専任媒介」だ。

 (3)一般媒介契約 は、売り手が複数の不動産仲介会社に代理を依頼することができるもので、法令上はレインズへの登録義務はないが、任意で登録できる。

契約方法 (1)専属専任媒介契約 (2)専任媒介契約 (3)一般媒介契約
 レインズへの登録 義務
(媒介契約締結の日から5日以内)
義務
(媒介契約締結の日から7日以内)
法令上の義務なし
(任意で登録できる)

 レインズは従来、プロしか利用できないシステムだ。そのため、売り手と媒介契約を結んだ不動産会社がわざと物件情報を登録しなかったり、登録していても物件の写真やチラシ(マイソク、販売図面ともいう)もない不十分な情報で買い手が付かないようにする例もあった。これは不動産会社が自分で買い手を見つけ、そちらからも仲介手数料を取りたいがために行う、意図的な隠蔽工作である。

 そうした行為を防ぐため、国土交通省が主導して2016年1月から取引状況を登録し、売却依頼主(売り手)が自分の物件に限り、登録内容を確認できる制度が導入された。

 例えば、売り手と「専任媒介契約」を結んだ不動産仲介会社は、契約締結から7日以内にレインズに物件情報を登録する義務がある。登録が終わると登録証が発行されるので、売り手は不動産仲介会社からその登録証をもらう。

 登録証に記載されたIDとパスワードを入力すると、売り手は売却物件の登録情報を確認できる。写真やチラシを含めて情報がきちんと登録されているか、他の不動産仲介会社がその物件を広告してもいい「広告可」となっているかなどを確かめよう。

 また、取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売り主都合で一時紹介停止中」の3種類で登録される。「公開中」なのに内覧の申込みがまったくない場合は、販売戦略をどう立て直すのか営業担当者と話しあったほうがいいだろう。「書面による購入申込みあり」となっているのに、営業担当者から話がなにもない場合は「囲い込み」を行っている疑いがあるので、不動産仲介会社に説明を求めるとともに、ほかの会社への乗り換えも検討したほうがいい。

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(2)販売活動について詳細な報告があるか

 売り手と「専属専任媒介契約」を結んだ不動産仲介会社は1週間に1回以上、「専任媒介契約」では2週間に1回以上、どのような販売活動をしたか報告する義務がある。ちなみに、「一般媒介契約」だと法令上の義務はなく、任意で報告を求めることになっているので、契約時に必ず定期的な報告をもらうよう、交渉しよう。

 この最低限のルールを守れていないのなら、営業担当者失格だ。

契約方法 (1)専属専任媒介契約 (2)専任媒介契約 (3)一般媒介契約
 営業報告の義務 あり
(1週間に1回以上)
あり
(2週間に1回以上)
法令上の義務なし
(任意で報告を求めることができる)

 また、媒介業務報告書は書式は決まっていないが、業界団体が雛形を用意しているので、少なくともそれ以上の情報を報告してほしいところだ。次の画像は、愛知県宅建協会が公表している媒介業務報告書の雛形だ。

媒介業務報告書(愛知県宅建協会)媒介業務報告書の雛形(出所:愛知県宅建協会)

 この媒介業務報告書だと、問い合わせ電話の件数、訪問してきた顧客の件数、現地案内した顧客の件数などを報告してくれることになっている。さらに、追加項目として、登録している不動産ポータルサイトの名称、インターネットの閲覧数(PV)、レインズの販売図面の閲覧数なども報告してもらうといいだろう。

 媒介業務報告書をメールでや手紙で報告してくるが、いつも代わり映えのない内容だったり、一向に内覧者が増えなかったりする場合は、買い手を積極的に見つける努力を怠っていると考えられる。

 内覧があったらそのときの内覧者の反応はどうだったか、成約に至らなかったらその原因はなにか、そして、成約に結びつけるためにどんな手を打つのか。結果と対策をセットで報告するのが、営業担当者のあるべき姿だ。そういう視点で、報告を吟味しよう。

(3)「囲い込み」「干し」をしていないか

 「囲い込み」とは、不動産仲介会社が売り手の物件情報を意図的に隠し、独り占めする行為のこと。物件情報を独り占めし、自分で買い手を見つけてくれば、売り手と買い手の両方から仲介手数料を受け取ることができる。これを「両手取引」(両手仲介)と呼び、日本の不動産業界では効率よく稼ぐための常套手段として存在している。もし、真面目に物件情報を公開してしまうと、それを見たほかの不動産会社が買い手を見つけてきてしまう可能性があるため、物件情報をなるべく隠そうとするのだ。

 先述したように、買い手がレインズの登録情報を確認できるようなったことで、登録せずに情報を隠すことは難しくなった。しかし、登録された物件情報を見たほかの不動産会社から問い合わせがあっても、「あの物件はもう買い手が決まりました」とか、「ほかの購入希望者と交渉中です」などと嘘をついて内覧を断る悪質な「囲い込み」もある。

 もし、売り出してから何カ月も経つのにまったく問い合わせがない、内覧がないという場合は、まず「ほかの不動産仲介会社からの問い合わせが何件あったか」と率直に尋ねてみよう。それでも営業担当者が適当にごまかそうとする態度をとったり、回答が納得いかないようなら、不動産業界に勤めている友人などに援軍を頼もう。不動産業者を装って問い合わせてもらうのだ。

 物件情報はレインズだけでなく、その不動産仲介会社のサイトなどにも登録されている。その情報をもとに、不動産仲介会社を装って電話してもらうのだ。素人にはちょっとハードルが高いので、不動産業界に勤めている友人に頼むのがいいだろう。

 友人 「A不動産と申しますが、物件確認をお願いします。渋谷区のXマンション、5200万円です。今週の週末は内覧が可能でしょうか」

 聞くことはこれだけだ。その不動産仲介会社が「現在交渉中です」、「図面作成中です」などと断るようなら、囲い込みを行っていると見て間違いないだろう。

 また、売り出した物件価格が高すぎて、到底、売れないだろうと不動産仲介会社が考えている場合は、積極的な販売活動をしているかのようなパフォーマンスをしつつ、実際には売り主が価格を下げざるを得ないと理解するまで放置しておいて、いたずらに時間をかけることがある。こうした行為を不動産業界では「干す」という。

 「干される」のを避けるためには、次の項目の「(4)十分な広告を行っているか」などをチェックするのがいいだろう。

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(4)十分な広告を行っているか

 物件情報はいまやインターネットで探す時代である。売却物件が不動産仲介会社の自社サイトで紹介されているか、不動産情報サイトやほかの不動産会社にも掲載されているか、定期的にチェックしよう。

 掲載内容によっても反応は大きく変わる。写真やセールスポイントを具体的にまとめたコメントなどがあれば、購入希望者の関心を引く可能性が上がる。写真点数は多ければ多いほどいい。写真枚数が2-3枚だったり、アピールポイントがなにも書かれていなかったりしたら、「ネットでも掲載しています」というアリバイづくりで掲載しているようなもので、多くの反響は期待できないだろう。

 インターネット以外にも新聞折り込み広告、チラシのポスティングなど昔ながらの方法もあり、こちらも一定の効果はある。営業手法としては「オープンハウス」と言って、営業担当者が週末などに物件に張り付いて、案内をするという方法もある。それらも含めて、充分な広告を行っているかを確認したい。

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~まとめ~
販売活動に問題があれば、他社への乗り換えの検討も

 以上、述べてきたように販売活動の内容をチェックして改善を促し、それでも成約に結びつかないようなら契約を見直すことも考えなくてはならない。

 「専任媒介契約」の場合、契約期間は3カ月以内と決まっている。営業担当者個人の資質に問題がありそうな場合は、早めに担当者を代えてもらう手もあるが、その不動産仲介会社自体が信用できないようであれば、ほかの会社への乗り換えも検討したほうがいい。

 ただ、不動産仲介会社も営業担当者も、売り手であるあなたに代わって物件の販売活動をしてくれるパートナーだということは忘れないほうがいい。はじめから疑ってかかったり、一方的な要求を突きつけたりするばかりでは、相手も本気であなたの物件を売ろうとは思わない。無条件に信頼する必要はないが、任せたからには一定の信頼を置いて、不動産仲介会社や営業担当者を味方につける。そういう姿勢も持っておいたほうがいいだろう。

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