一方、国際社会やマーケット関係者は、消費税率の引き上げにより、わが国の財政再建がどの程度進むか、財政赤字がどの程度軽減されるのかという点に興味がある。したがって、5%の引き上げ分の大半が、社会保障の「充実」に回らずに、赤字国債の縮減につながることが望ましい。

 つまり、消費税率引き上げについて、多くの国民の期待と、市場の期待は、相反しているのである。あちら立てればこちらが立たず、トレードオフの関係であると言ってもよい。

 実はこの点、7月1日に閣議了解された、「成案」の中身をよく読むと、以下のように解説してあり、解決済みの問題でもある。

 5%のうち、社会保障の充実に回るのは、ネットで消費税率1%分である。残りの4%分は、財政再建に充てられる、つまり赤字国債で手当てされている社会保障費を税財源で手当てすること、とされているのである。

 現在最も緊急度の高いことは、欧米の財政赤字を材料にして暴れまわる投機筋に対して、わが国は財政健全化に向けて動き出しているという強いメッセージを送ることである。彼らに、付け込ませる材料を与えてはならない。

 こう考えると、消費税率引き上げの4%分を財政健全化に回すことは、やむを得ない選択と評価すべきではなかろうか。

 さらには、社会保障財源が、赤字国債から税財源と言う安定財源にふりかわるので、社会保障制度への信頼が高まり、安心効果という経済への好影響も期待しうる。

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社会保障費はどうやって節約するか

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