社会保障の効率化の議論は
ほとんど手つかず

 では、社会保障の「充実」はないのか。そうではない。ネットで1%の財源の中に、社会保障の「充実」が含まれている。具体的には、3兆8000億円の社会保障充実を行うが、一方で、1兆2000億円の社会保障の効率化、つまり節約を行うので、ネット2兆7000億円(2015年ベース、消費税率1%)が必要となる、ということである。

 3兆8000億円の財源は、非正規社員への厚生年金の適用拡大、受給資格期間の短縮、低所得者への支給額加算などだけでなく、子育てや介護の充実費用にも使われる。これが社会保障「充実」の具体的な中身である。

 一方で、1兆2000億円の削減は、デフレにもかかわらず年金支給額を据え置いてきた部分を減額すること、高所得者の基礎年金の減額、外来患者の窓口負担100円の上乗せ、後期高齢者の窓口負担増などが予定されている。将来的には、支給開始年齢の引き上げ、マクロ経済スライドなども検討課題となっている。

 多くの国民は、「消費税を引き上げ社会保障の充実に充てるはずなのに、なぜ年金や医療の効率化が同時に行われるのか、逆ではないか」と疑問に思っているが、上述のように、「成案」のスキームには、社会保障の効率化1兆2000億円がセットとなっているのである。

 現在、社会保障充実や効率化の議論が、政府・民主党内で行われているが、「充実」の方は、だれも反対する人はいない。しかし、効率化の方は、ほとんど手がついてない、といわれている。

 そうすると、3兆8000億円から1兆2000億円を差し引いてネットで2兆7000億円、消費税率1%分、という内訳に齟齬が生じ、財政再建に回る部分が少なくなる。

 いずれにしても、社会保障改革の中身を具体的にひとつひとつ詰めていかないと、5%引き上げの根拠、理由が国民には伝わらない。

次のページ

解散を主張する自民党は支持されるか

TOP