サラリーマン増税の「真犯人」は消費税軽減税率だ

 久々の所得税改革である。

 所得税の控除見直しで年収850万超のサラリーマンや高所得年金受給者は増税、フリーランス・ネットワーカー・個人事業者は減税という、来年度の税制改正案が固まった。就任以来、国民に負担増を求めることを逃げ続けてきた安倍政権が、「増税」に向き合った初めての税制改正でもある。

 格差が拡大する中で、所得再分配の強化は必要なことだが、“真相”は違う。「影の主役」がいる。

所得税増税の陰で意識された
19年の消費税軽減税率導入

 今回の増税で、驚かされたのは、世論の反応だ。

 例えば、12月18日付の日本経済新聞朝刊は、世論調査の結果を「850万円超増税『賛成』55%」という見出しで報道している。

 財務省時代から長く税制改正にかかわってきた筆者の経験では、「ネット増税(所得税は900億円の増税)」を行って、国民の多数が「賛成」という反応は初めてだ。ちなみに「反対」はわずか30%だった。