「実はな」とパートナーは話を続けた。「一昨日、今回のプロジェクトのキーマンである経営企画担当専務と1対1で話し合いをした」というのである。

 専務はこう言ったそうだ。

 「おそらく御社のコンサルタントからは『Aが問題だ』という話が挙がって来るだろう。しかし、そんなわかり切ったことのために高い報酬を払ってコンサルファームを雇ったわけではない。その裏にある誰も気がついていないBという問題について取り上げることが、今回の依頼の中心命題なのだ」

 覚えているのは、そこからまた2日間、週末を全部つぶして必死になってヒアリング資料を読み返し、Aという問題の陰にBという、より本質的な問題が存在しているという報告書に不眠不休で書き換える作業を行ったことだ。

若いときにいたコンサルでは
時給が「マック以下」だった

 私ではないが、会社に土日を含めて朝9時から夜12時まで毎日いる若手社員がいた。彼が計算してみたところ、当時の1ヵ月の給料を実労働時間で割ると、マクドナルドの時給より低かったという。

 その頃はそういった働き方が当然だと思っていたが、今になってみると理不尽であったことに改めて気づかされる。前述の話で言えば、パートナーがクライアント専務からの情報を入手した段階でチームに共有していれば、我々の週末作業は必要なかったのだから。

 残業代が支払われる会社だったら、この一件のようにチーム全体での週末作業が起きれば、100万円単位の残業代が追加発生する。だからそうならないよう、経営者も考えて指示を出すはずだ。しかし、裁量労働制で実労働時間と対価がクリアになっていないから、経営者は手抜きをして指示が遅れるのだ。

 足もとで働き方改革が叫ばれるようになった大きなきっかけの1つが、電通の女性社員が週に10時間しか寝られない環境下で働き続け、過労によって自らの命を絶った事件だ。ところが今回の法案では、これまで一部の仕事に限られていた裁量労働制の範囲を、顧客のニーズを分析して提案を行う営業社員にまで広げることが盛り込まれている。

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本当に生産性は上がる? 成長戦略の部品となった働き方改革

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