記者会見で握手するノジマの野島広司社長(右)と日立製作所の網谷憲晴執行役専務(左)記者会見で握手するノジマの野島広司社長(右)と日立製作所の網谷憲晴執行役専務(左) Photo:JIJI

日立の白物家電事業をノジマが買収しました。旧サンヨー、シャープ、東芝が次々と中国・台湾系資本の傘下に入る中、「日本の家電ブランドが守られた!」と安心した人も多いはず。しかし、手放しで喜んではいられません。実はこの買収には、中国・台湾系メーカーによる買収では懸念されない「ある致命的なリスク」が潜んでいるのです。ノジマを待ち受ける“静かな排除”の恐怖とは? そして巨大な海外資本に打ち勝つための「起死回生の秘策」を解説します。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博

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過去のオワコン買収と
日立家電買収の違い

 家電量販店業界第3位のノジマが日立の白物家電事業を買収すると発表しました。日本の白物家電は旧サンヨーが中国のハイアールに買収されてAQUAブランドへ移行。シャープは台湾の鴻海の子会社となり、東芝も中国の美的集団の傘下に入っています。業界としては長期衰退の傾向にありました。

 日立も重電分野とITソリューションで成長する一方で、家電の売り上げ比率は約2%まで低下していました(読売新聞オンライン 4月21日を基づいて試算)。経営リソースの集中の観点から長らく家電事業の売却は時間の問題だとも言われてきたのですが、中国資本でもファンドでもなく、日本企業による買収というのは業界ウォッチャーの想定外の展開です。

 買収発表後に株式市場はこのニュースを好感して、ノジマの株価はこの日の終値で14%も上昇しました。この記事ではノジマの家電戦略と将来の可能性について解説したいと思います。

 私は経済評論家として2年前に「ノジマの戦略は“オワコン集まれ”だ」という記事を書いたことがあります。

 ノジマがパソコンのVAIOの買収を発表した当時の記事で、他にもインターネットプロバイダのニフティや、携帯ショップ大手、視聴者が動画配信へと移行中の衛星アニメチャンネルなど、一見衰退事業に見えるビジネスをつぎつぎと買収していました。

 実は経営戦略としてはこのオワコン買収は合理的な戦略です。