Sさんは、今まで家庭を顧みず「仕事、仕事」と言ってきた自覚があり、妻の申し出を断れば気を悪くし、もしかすると、いわゆる熟年離婚に発展してしまうのではないかと心配になってしまいました。

 であれば、自分が家計管理を手伝えばいいのだと思って妻の申し出を了解、妻は嬉しそうに、早速、家計簿をつけることをやめました。しかし、いつも家計管理については2人で話をしてきたし、支出の概要はつかんでいるから大丈夫だと思っていました。しかし、その思い込みが間違いでした。

家計簿への記入を怠り
支出が分からなくなってしまう

 Sさんは、かつてほど忙しくなかったものの、雇用延長で仕事を続けていたこともあって、次第に家計簿をつけるのを怠り始めました。それに伴って、支出の状況が分からなくなってしまいました。とはいえ、急な支出やむだ遣いをしているわけではなかったので、どこかで「大丈夫だろう」と思っていました。

 ところがです。1年ほど経過し、Sさんが銀行口座からお金を下ろした際に通帳で残高を見てみると、1950万円まで減ってしまっていました。計算してみると、この1年で250万円以上ものお金を使っていたのです。

 60歳の時点では、退職金に加えて確定拠出年金の一時金や預貯金など、合わせて2200万円ほどが口座にあったはずでした。それがかなりのスピードで減っており、驚いたそうです。雇用延長して、収入を得ていたにもかかわらずです。

 このままでは、年金がもらえる年を越えても働かなければ、老後資金は10年ほどで底をついてしまいます。「旅行だなんだなどと言っている場合ではなく、生きるための資金さえ足りなくなってしまう…」と思った途端に焦り始めました。「自分自身も浪費を改めるから、妻にもお金の使い方を改めてもらう必要がある」と思うばかりでした。

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老後は油断禁物、現役時代より計画的に

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