定年後に家計管理を任された途端、夫がはまった落とし穴

老後に入って
家計管理を任された夫

 老後の生活に入った途端、「予定よりも老後資金が減ってしまって困っている」という人は意外と多いのではないでしょうか。一度に多額の退職金を手にし、人生の中で最高の金額が書かれた預金通帳を見た途端に気が大きくなってしまい、「むだ遣いはしないぞ」と決めていても使ってしまったというケースは枚挙に暇がありません。Sさん(61歳)もそうなってしまった一人です。

 Sさんは、定年退職に向けて住宅ローンを完済し、雇用延長して65歳までは収入がある状態を作り上げていました。子どもは独立したので、教育費の心配もありません。老後資金の大切さはよく分かっていたつもりだったので、派手な海外旅行をしたり、大金を投資につぎ込むんだりといった贅沢なことは、決してしないと誓っていました。

 ただ一つ、計算が違ったのは、いつも家計簿をつけてくれ、お金の使い方を相談しながら暮らしてきた妻が、「私も家計簿をつけることを退職していいかしら」と言い出したことでした。Sさんが家にいる時間が以前よりも長くなりましたし、妻が一人で頑張らなくてもいいのではないか、というのが言い分でした。