GWの前に「逆日歩銘柄の買い戻し」による株価上昇が
期待できる銘柄はこれだ!「信用買い残」などの需給
要因を想定したスクリーニングでお宝株を発掘しよう

2019年3月8日公開(2022年2月14日更新)
村瀬 智一

 私は、株式相場とは基本的に需給要因を中心に変動するものとみています。今回は、そういった需給要因にもとづいた銘柄発掘術を紹介しましょう。

米中通商協議の進展によりグローバル資金が中国株に流入!
中国関連銘柄には買い戻しの期待が

 需給要因は、グローバルマネーの流れを考えるうえでも重要です。例えば、成長期待の大きい国への資金比率が高まると、その一方でリスクのある国のポジションは小さくなるので、資金比率が高まった国・地域の株価は相対的にリスクのある国・地域をアウトパフォームすることになります。

 足元で中国・上海指数がリバウンドを強めてきている理由がこれです。米中通商協議への進展期待が高まる中でリスク選好の流れとなり、これまでポジションを低水準に抑えていたグローバル資金が中国株に流入しているとみられています。

 中国では、日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が3月5日から開幕しました。直前に追加関税を引き上げられる最悪の事態を回避したこともあり、警戒感が強まるよりは、ひとまず2019年の経済成長目標や政策などに期待が高まる格好になりそうです。

 また、米中通商協議については、乗り越えなければいけない課題があるものの、話し合いは進んでおり、3月27日頃に予定されている米中首脳会談で正式な合意が結ばれる可能性も出てきたと各メディアは伝えています。「可能性」とはいえ、これまでポジションを減らしていた投資家は、買い戻しを迫られることになるでしょう。

 さらに、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が、算出しているグローバル指数(MSCI指数)において、来年から人民元建て中国A株のウエートを大幅に引き上げると発表したこともきっかけになったと考えられます。

 こういった流れから、日本株においても、下の表のような中国関連と位置付けられている銘柄に買い戻しが向かいやすいでしょう。

■中国関連で特に出遅れ感の目立つ銘柄
銘柄名 コード 株価 最新の株価
ヤマシンフィルタ 6240 757円
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THK 6481 6481円
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東海カーボン 5301 1457円
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MORESCO 5018 1553円
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オークマ 6103 6170円
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※2019年3月6日終値

ゴールデンウィークの10連休により
「信用売りの買い戻し」が発生!

 相場に大きな影響を与える需給要因は、季節によって発生するものもあります。例えば、個人投資家も数多く参加する「配当・優待狙い」の投資です。

 3月末は、多くの企業が決算期末になり、株式の配当や優待を取りに行く動きが増えるでしょう。さまざまな業界誌の特集や証券会社のレポートなども、配当妙味のある銘柄や株主優待で注目される銘柄を取り上げています。

 ただし、配当を狙う中で株価が上昇し、利回りが低下することも少なくありません。また、値下げリスクのヘッジとして、信用取引を活用した売りヘッジを行う「クロス取引」も今や当たり前の手法になっています。

 この信用取引に関して注目しておきたいのが、10連休となる今年のゴールデンウィークです。

 信用取引は、株券を借りて売ること(空売り)ができますが、信用売り残高が信用買い残高を上回ると、株式の貸し方である証券金融会社で貸し出せる株が不足します。この不足を補うために機関投資家などから株を借りるのですが、その際に発生する調達費用として「逆日歩」が発生します。つまり、空売りをしたい投資家は、逆日歩を払って株を借りることになります。

 逆日歩の計算で使う日数は、「約定日」ではなく「受渡日」が基準となります。例えば、月曜日に空売りを約定し、翌日火曜日に買い戻しをした場合、3営業日後の木曜日が空売りの受け渡し、金曜日が買い戻しの受け渡しになりますから、逆日歩の発生する日数は木曜から金曜日にかけての1日になります。

・月曜日に空売り(木曜日に受け渡し)
・火曜日に買い戻し(金曜日に受け渡し)
 ⇒逆日歩の発生期間は、木曜から金曜日の「1日」

 しかし、貸株の受け渡しは営業日にしか行えないので、受渡日が週末や祝日を挟むと、その分の逆日歩が上乗せされてしまいます。

 例えば、今年の4月23日に空売りすると3営業日後の4月26日に受け渡しとなりますが、翌日4月24日に買い戻しをしても受け渡しはゴールデンウィーク後の5月7日となり、実に11日分の逆日歩が発生します。つまり、受渡日がゴールデンウィークを挟むと、10日分の逆日歩を余計に払う必要があるのです

・4月23日に空売り(4月26日に受け渡し)
・4月24日に買い戻し(5月7日に受け渡し)
 ⇒逆日歩の発生期間は、4月26日から5月7日の「11日間」

 もし、逆日歩が1円ついていたとしたら、1株について1円ですので、1000株でしたら1円×1000株×10日で1万円もの負担になってしまいます。

 機関投資家やファンドなどは、たとえ逆日歩が発生してもヘッジ対応上、空売りが必要ですが、それでもポジション自体を圧縮する可能性はありそうですね

 また、ヘッジファンドによるロング&ショートなどの取引は、実施する際に株券を調達します。その際、生命保険会社など大口安定保有先が株の貸し手として重要な役割を果たしますが、それらの貸し手の期末対策の時期には、いったん返却する必要が出てきます。そのため、3月期末にかけて、「ヘッジファンドのショートポジションの買い戻し」による需給要因が意識されます

 信用売り残高の積み上がっている銘柄については、こうした需給要因を意識した売り方の買い戻しを誘う「踏み上げ」を狙った動きも出てくる可能性があります。これは、個人投資家にとってもトレードのチャンスとなります。

「信用売りの買い戻し」が期待できる銘柄を
スクリーニングで発掘!

 では、具体的に、期末やゴールデンウィークの前に買い戻しが期待できる銘柄を発掘してみましょう。

 まずは、逆日歩がつく銘柄をピックアップします。逆日歩がつく銘柄については、証券会社のHPなどでも公表されていますので、データの取得は難しくありません。

 次に、エクセルを使って少しスクリーニングをします。今回は、逆日歩が発生している銘柄(3月1日時点)の中から、次の3つの条件を満たしている銘柄を選びます。

1)信用倍率が1倍台以下(できれば1倍を下回る売り長が好ましい)
2)売り残高の概算金額(売り残高×3月1日終値)が5億円以上
3)25日移動平均線と13週移動平均線を上回っている

 さらにその中から、売り残高の概算金額が大きい上位の銘柄を選んでみました。

■期末やゴールデンウィークの前に買い戻しが期待できる銘柄
銘柄名 コード 株価 最新の株価
東海カーボン 5301 1457円
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ファーストリテイリング 9983 5万3110円
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ZOZO 3092 2274円
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キーエンス 6861 6万7560円
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オリンパス 7733 5100円
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ソースネクスト 4344 511円
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資生堂 4911 7759円
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東海旅客鉄道 9022 2万4760円
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東宝 9602 4040円
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大東建託 1878 1万4820円
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ドトール・日レスホールディングス 3087 2178円
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オリエンタルランド 4661 1万2405円
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スギホールディングス 7649 4770円
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ペプチドリーム 4587 5530円
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マネックスグループ 8698 442円
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アークス 9948 2490円
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三菱重工業 7011 4551円
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中外製薬 4519 7670円
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東日本旅客鉄道 9020 1万0645円
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ゴールドウイン 8111 1万4080円
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※2019年3月6日終値

 例えば、昨年7月に高値4875円をピークに売られていたZOZO(3092)ですが、足元の信用倍率は0.56倍ですので、売り残高は買い残高の倍近く積み上がっています。株価は、足元のリバウンドによって、25日移動平均線および13週移動平均線を上回っています。株価の位置は、昨年初来高値から-55%程度、昨年初来安値から+34%程度です。

 以上から、ZOZOは、業績面で不安があったとしても、需給面ではリバウンド基調が継続すると考えられます。今後、安値からの上昇率が高値からの下落率を超えてくると、より心理的には買い戻しが意識されてくるでしょう。

株価上昇が続くと、新規売りが積み上がりながらも
需給面では下げにくい状況に!

 信用売り残から考えられる需給要因を、もうひとつ挙げておきましょう。

 株価上昇が長期化している銘柄は、業績成長の大きな変化がなければ、通常は過熱感や割高感などから買われ過ぎといった見方が増え、結果的には新規売りが積み上がりやすいです。しかし、投資判断は様々ですので、それでも買いたいという需給が上回れば株価の上昇は継続するでしょう。

 つまり、割高を意識した新規売りが積み上がり、それでも株価上昇が続くと、売り方は買い戻しを迫られる状況に陥ります

 ちなみに、いくら信用残高が増えても、株価が安値圏にある銘柄は別です。売り方にとってみれば、急いで買い戻しをする必要がありませんから……。

 そこで、過熱感があるものの需給面では下げにくい銘柄として、前出の「3つの条件」を満たした銘柄の中から、株価が高い銘柄をピックアップしました。

 具体的には、昨年来高値からの下落率、同安値からの上昇率を考慮しています。例えば、100円の株価が50円に下がると、下落率は50%です。その後70円まで戻すと上昇率は40%になり、下落率は30%に縮小ます。こういった形で上昇率の大きい銘柄に絞っています。

 これらの銘柄は、期末やゴールデンウィークの前に信用売りの買い戻しによる踏み上げが期待できます。

過熱感はあるものの需給面では下がりにくい銘柄
銘柄名 コード 株価 最新の株価
鎌倉新書 6184 1805円
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ゴールドウイン 8111 1万4080円
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デジタルアーツ 2326 9230円
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バリューコマース 2491 2098円
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多木化学 4025 5370円
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ラクト・ジャパン 3139 7850円
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メンバーズ 2130 1696円
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オロ 3983 4880円
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オプティム 3694 4160円
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ベネフィット・ワン 2412 2051円
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※2019年3月6日終値

チャートの分析に需給要因を加えることで
これまで出てこなかった銘柄が発掘できる!

 今回は、需給面を重視した投資戦略と、それに伴う銘柄選定を紹介していきました。

 東証1部の売買高が依然として低水準であることから、需給要因が相場をより大きく動かすことになります。普段、テクニカル分析などで銘柄を選定している投資家のみなさんも、需給状況をプラスして検討することで、また一味違う銘柄が出てくるかもしれません。今回の記事を、銘柄発掘の一つのアイデアとして、参考にしていただけると幸いです。

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