ルワンダは治安よく気温も快適で都市化された
"アフリカのシンガポール"だったが観光スポットは少ない
【橘玲の世界投資見聞録】

2019年5月31日公開(2019年6月20日更新)
橘玲

治安もよく快適なルワンダの難点は観光する場所が少ないこと

 ルワンダのキガリにはマリオットなど高級ホテルのほか、洒落たブティックホテルも次々とできて、レストランもクオリティが高い。2日目の夜はホテルで勧められたインド料理店に行ったのだが、メニューやサービス、味も銀座の高級店と遜色のない本格派だった(価格はお酒を入れて1人4000~5000円程度)。

 平日の夜にもかかわらず、8時を過ぎる頃には店内は半分以上埋まっていた。ほとんどは外国人で、白人が7割、アジア系(中国人)が3割という感じだが、日本人のグループもいた。旅行者というよりビジネスでこの国を訪れているようだ。

 フレンチ、イタリアン、アメリカン(ステーキ)など、ほとんどがホテルに併設しているものの、このクラスのレストランが市内にはいくつもあるようだ。

キガリのインドレストランは本格派    (Photo:@Alt Invest Com)

 

 ルワンダはほぼ赤道直下に位置しているが海抜1500メートル程度の高地で、気温は1年じゅう20度前後で安定している。雨期と乾季に分かれていて、私が訪れた5月中旬までは雨期だが、強い雨がしばらく降ると青空が広がる。治安もよく美味しいレストランもあって快適そのものだが、旅行者にとっての難点は観光する場所が少ないことだ。

 ガイドブックを見ても、キガリの「観光名所」は虐殺記念館くらいしか載っていない。ホテルのツーリストデスクに聞いてみたが、提案されたのは日帰りのサファリだけだった。

 私は動物にさしたる興味があるわけではなく、サファリも南アフリカ(ヨハネスブルク)とボツワナ(チョベ国立公園)で体験したのであまり気が進まなかったのだが、ほかにやることもないので、タンザニアとの国境にあるアカゲラ国立公園に行ってきた。

 ここはインパラ、シマウマ、キリンなどのほか、乾季なら水場でアフリカゾウが間近で見られるようだ。草食動物が多いのは、ライオンやチーターがいないからだという。まる1日ガイド兼ドライバーと四輪駆動の車を借り切って300ドルだった。

アカゲラ国立公園のシマウマ     (Photo:@Alt Invest Com)

 

 ルワンダ観光で有名なのはキガリの北西にあるヴォルカン国立公園で、コンゴとの国境に接する火山群の山裾に広がっている。この一帯はマウンテンゴリラの生息地で、現在は8群が観察可能。旅行者は公園内のロッジに宿泊し、ガイドに連れられて割り当てられたゴリラ群を求めて森の中を歩く。キガリのホテルでは、ビジネスマン以外ではアウトドア系のヨーロッパ系白人をよく見かけるが、みんなゴリラに会うためにこの国までやってきたのだ。

 鉱物資源や観光資源があるわけでもなく、輸出用の農産物としては最近ようやく認知度が上がってきたコーヒーくらいしかないルワンダが、なぜここまで発展したのだろうか。

 それは“独裁者”ポール・カガメ大統領が、この小国をアフリカ投資のハブにすることを目標に、徹底した治安対策や英語公用語化を断行したからのようだ。そのきわめて合理的な開発独裁はシンガポールの建国者リー・クアンユーとよく似ており、しばしば並び称される。

 ルワンダへの投資は中国が先行しているが、アフリカ進出を考える欧米企業にとっても、安全確保に大きなコストをかけることなく従業員と家族を派遣できるのは大きなメリットだろう。

 こうした戦略は、ルワンダ航空がアフリカの主要都市だけでなく、ジュバ(南スーダン)、ルーブルヴィル(ガボン)、ルサカ(サンビア)などにも定期便を運航していることからもわかる。キガリにヘッドオフィスを構えれば、従業員をアフリカじゅうに出張させることができるのだ。

キガリの中心部にある近代的なオフィスビル   (Photo:@Alt Invest Com)

 

 ルワンダは「千の丘の国」といわれるほど丘陵が多く、キガリの市街地を取り囲む丘の上は高級住宅街になっている。下の写真のような住宅には外国人が住んでいるが、地元の中産階級向けのマンションや住宅地も続々と開発されている。

キガリの郊外にある高級住宅街   (Photo:@Alt Invest Com)
キガリ虐殺博物館から市街地を望む   (Photo:@Alt Invest Com)


 

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