一読のすすめ

 著者は、医療少年院に送られた非行少年や大人の受刑者など、犯罪に手を染めてしまった人々と、その背景にある知的なハンディの関係について述べている。認知機能に「軽度」の障害を抱えたまま社会に出て、「普通に」暮らしている人は、思いのほか大勢いるのだろう。周囲にも一人や二人、思い浮かぶのではないだろうか。「あの人、空気読めなくて困るよね」、「もっと臨機応変に対応してくれないかな」といった人が。そうした人々のうち何割かは、本書で述べられているような課題を抱えているのかもしれない。

 教育関係者でもない立場で、知人や同僚、隣人として何ができるのかまで、本書がつまびらかに示しているわけではない。だが、一見「厄介な人」にも、何かしら事情があるのではないか。せめてそう思いを馳せられる人が増えれば、彼らの生きづらさが多少は和らぐのかもしれない。そんな大事なことに気づかせてくれる貴重な一冊だ。多くの方に手に取ってお読みいただきたい。

評点(5点満点)

総合4.0点(革新性4.0点、明瞭性4.5点、応用性3.5点)

著者情報

宮口幸治(みやぐち こうじ)
 立命館大学産業社会学部教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「コグトレ研究会」を主宰。医学博士、臨床心理士。

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