ユーロ共同債の創設なしに欧州債務問題の抜本的解決はない
それでは南欧国債の買取り以外に何か方策はあるのでしょうか?
私は欧州の債務問題を根本的に解決するにはユーロ共同債の創設しかないと考えます。
もしEU共同債が創設されれば、10年債の利回りは3%くらいには抑えられるのではないでしょうか。それでも長期国債利回りが1%台のドイツからすればコスト増につながるので不満だと思いますが、長期国債利回りが7%のスペイン、10%のポルトガル、25%のギリシャにとっては、「一定の努力をすれば債務問題が解決できる」と言える環境が整うことになります。
逆に言えば、ユーロ共同債が創設されない限り、欧州債務問題はいつまでもくすぶりつづけ、リーマンショックのようなショックが再び起きる可能性があります。
ギリシャからスペイン、そしてイタリアにまで飛び火するということになれば、その火消に必要な資金は総額2兆ユーロ以上になると思われます。
そうしたことはユーロの首脳たちは当然よく分かっているでしょうから、結局のところは、大きなショックが起こる前にマーケットに催促される形でユーロ共同債創設に向かうということになるのではないかと思います。
EU共同債に創設にはフランスのオランド大統領やIMFのラガルド専務理事などが積極的であり、反対姿勢を見せているドイツのメルケル首相も当然その必要性は認識していると思います。あとは、ドイツ国内の反対意見をいかに押さえて決断するかです。
ドイツはユーロによる通貨安などのメリットの最大の享受国ですから、共同債導入による金利上昇などのコストはある程度受け入れるべきでしょう。
ただし、もちろんユーロ共同債導入にはある程度時間がかかりますので、それまでの応急措置としては、EFSFとその後継組織であるESM(欧州安定化メカニズム)、そしてECBが連携して、南欧国債を買い取るなどの措置を取る必要があります。そのようにして債務危機の抜本的な解決までつなげられるかが今後の大きな焦点です。



