リーマンショックで世界経済の危機は終わらない――そう主張し、今年4-5月の欧州債務問題による相場波乱の予想も的中させたエコノミストの中原圭介さん。中原さんはこの8月から10月にかけても世界の経済と金融市場には危機が続くと警鐘を鳴らしている。スペイン長期国債の金利が危機ラインと言われる7%を超える中、欧州各国の首脳やECBなどは危機回避に必死だが、それでもやはり危機は起きるのだろうか――。中原さんに、直近の状況を踏まえて最新の予測を語ってもらった。
ECB会合は期待外れだったが、8月中の欧州発の危機拡大は遠のいた

私の予想通り4-5月には欧州債務問題が再燃して金融市場が混乱しました。
その後の欧州債務問題の焦点はギリシャからスペインに移り、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は7月26日に「どんなことをしてもユーロを守る」と発言し、8月2日には3月に停止した南欧国債の購入の準備を始めると表明しました。
しかし、ECBやEFSF(欧州金融安定化基金)による南欧国債買い取りという対応だけでは、債務危機を先送りするための「時間稼ぎ」にすぎず、問題の抜本的な解決策には程遠いと私はみています。
というのも、現在のスペインの長期国債の6%~7%という金利では、10年間で元利金支払いが1.8倍~2倍に膨れ上がる計算になるからです。これでは、いくら財政健全化の努力を重ねても、債務が膨らんでいくばかりです。
2日のドラギ総裁の南欧国債再開の方針の表明は、内容的に全く期待外れなものでした。その方法・金額・時期などに関する具体的な言及が全ない上に、前提として財政危機国からの申請があることEFSFも購入を始めることといった、決してハードルが低くない条件を付けてきているからです。
しかし予想外にも7日には、メルケル政権の報道官が「ドイツ政府としてECBの南欧国債購入の計画を支持する」と発言しました。メルケル政権はドイツ連銀と国民の反対を押し切る覚悟を決めた模様です。
これでEFSFが南欧国債を購入できる可能性が高まりました。スペインのラホイ首相もEUに支援を依頼すると見られており、これでドラギ総裁が先日示した国債購入の前提条件が揃いそうです。
早ければ、今月中にもECBとEFSFによる南欧国債の購入が始まるという観測があり、欧州の金融市場では安心感が広がって来ています。とりあえずは、8月の欧州発の混乱が避けられる見通しが立てられるようになりました。
ユーロ共同債の創設なしに欧州債務問題の抜本的解決はない
それでは南欧国債の買取り以外に何か方策はあるのでしょうか?
私は欧州の債務問題を根本的に解決するにはユーロ共同債の創設しかないと考えます。
もしEU共同債が創設されれば、10年債の利回りは3%くらいには抑えられるのではないでしょうか。それでも長期国債利回りが1%台のドイツからすればコスト増につながるので不満だと思いますが、長期国債利回りが7%のスペイン、10%のポルトガル、25%のギリシャにとっては、「一定の努力をすれば債務問題が解決できる」と言える環境が整うことになります。
逆に言えば、ユーロ共同債が創設されない限り、欧州債務問題はいつまでもくすぶりつづけ、リーマンショックのようなショックが再び起きる可能性があります。
ギリシャからスペイン、そしてイタリアにまで飛び火するということになれば、その火消に必要な資金は総額2兆ユーロ以上になると思われます。
そうしたことはユーロの首脳たちは当然よく分かっているでしょうから、結局のところは、大きなショックが起こる前にマーケットに催促される形でユーロ共同債創設に向かうということになるのではないかと思います。
EU共同債に創設にはフランスのオランド大統領やIMFのラガルド専務理事などが積極的であり、反対姿勢を見せているドイツのメルケル首相も当然その必要性は認識していると思います。あとは、ドイツ国内の反対意見をいかに押さえて決断するかです。
ドイツはユーロによる通貨安などのメリットの最大の享受国ですから、共同債導入による金利上昇などのコストはある程度受け入れるべきでしょう。
ただし、もちろんユーロ共同債導入にはある程度時間がかかりますので、それまでの応急措置としては、EFSFとその後継組織であるESM(欧州安定化メカニズム)、そしてECBが連携して、南欧国債を買い取るなどの措置を取る必要があります。そのようにして債務危機の抜本的な解決までつなげられるかが今後の大きな焦点です。
今年後半から米国の景気が失速、穀物価格高騰の影響も
世界経済のもう一つの不安要素は、米国景気が年後半からかなり失速しそうなことです。欧州経済の悪化や新興国経済の失速で、直近発表された米国主要企業の4-6月期の決算は予想以上に減速しました。続き7-9月期にはかなり悪化して減益となる可能性が高いと思います。
そうなると当然、雇用や消費などマクロ経済も影響を受けるでしょう。米国ではすでに雇用統計やISM製造業景気指数などの主な経済指標が大きく鈍化していますが、その傾向が一段と進む可能性があります。
今の世界経済の不安定要因としては、米国の大規模な干ばつを背景とした穀物価格の高騰の動きにも注意を払う必要があります。米国経済が鈍化している大きな要因には新興国経済の失速がありますが、その新興国経済に大きな影響を与えるのが穀物価格高騰の動きです。
今の新興国経済の最大のネックはインフレであり、そのインフレは足元でこそ収まっているものの、穀物価格高騰は新興国のインフレを再燃させる可能性があります。それは昨年おきたアラブの春のように政情不安をひきおこす危険性さえ秘めています。
ですから、今後は穀物価格の動向にもよく注意しておくべきでしょう。
QE3実施で歴史的円高の最終局面になる可能性も
こうした状況の中で注目されるのは、米国でQE3(量的緩和第三弾)がいつ実施されるかです。FRBがQE3の実施に踏み切るきっかけは、おそらく株価急落でしょう。そうした意味では、NYダウが13000ドル台と堅調な現状ではQE3のすぐの実施は考えづらいです。
ただし、今のようにマクロ経済と企業業績が悪化する流れを考えると、9月から10月にかけて米国株が大きく下振れするリスクが高まっていると思われます。9月、10月というのは、歴史的にも金融市場が不安定になる傾向が強い時期であり、今年もそうしたリスクが高いと思います。
私の予想としては、この9-10月の時期にNYダウで11000ドル台くらいまでの下振れはありうると思いますし、そうなればQE3発動となる可能性は極めて高いと思います。
QE3が実施されれば、世界の株価は一時的に上昇するでしょうが、その効果はQE2の時と同様にそれほど長く続かないと思います。株価上昇は一時的なものにとどまり、実体経済にはむしろ悪いインフレという副作用をもたらす可能性が高いでしょう。QE3は経済の根本的な解決策ではないということをよく認識するべきだと思います。
注目される円相場ですが、QE3実施となれば一段と円高傾向が進むと思います。しかし、条件次第ではそれが歴史的円高の最終局面になる可能性もあります。
条件というのは、その後、欧州がユーロ共同債導入などユーロ問題の本格的な対策に乗り出すことです。その場合には、かなり大幅に円安方向への動きが出ると思います。ですから、QE3発動後こそ外貨投資の大きなチャンスを迎える可能性があります。
(取材・編集協力/小泉秀希)
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