ローワースキルの、「オフショアリング」できない仕事、IT化しにくい仕事は増えているものの、ミドルスキルの人がそちらへ転職すると年収は減少する。所得格差を表す米国のジニ係数は、この30年間で0.42から0.47へ上昇した。一方で、IT関連のハイスキルの職種は、人材が逼迫している。しかし、ミドルスキルの人々は、そちらにはなかなか転職できない。深刻なミスマッチが存在している。失業率が適正な水準に下がるにはまだ時間がかかるだろう。

 バーナンキFRB議長は、上記のような構造問題が横たわっていることを認識しながらも、9月に、雇用情勢が改善するまでMBS(住宅ローン担保証券)を毎月400億ドル購入し続けると決定した。構造的な失業者を早期に吸収するには、バブル的な経済ブームを起こすしかない。しかし、それは危うさをはらむ。むしろ、前掲論文が言うように、採用と求職のミスマッチに対処するために、地道に教育制度の改革を行っていくことが正論と思われる。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)

週刊ダイヤモンド

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