湖南省の中南大学大学院在籍中に邱永漢氏と出会い、卒業を待たず、2005年から氏が亡くなる2012年5月まで秘書として中国ビジネスと中国株を直接学んだ上田尾一憲さん。2014年からビジネスの拠点を台湾に移した上田尾一憲さんが、新型コロナ対策に成功した台湾の陽性者管理体制と国内旅行ブームについてレポートします。
2021年4月22日現在、台湾の新型コロナウイルス陽性者の累計数は1086人、死者11人、隔離解除者1041人。これは台湾の衛生福利部が毎日フェイスブックで発信している台湾国内のコロナの状況だ。
陽性者には1人1人番号を付けて管理・情報発信
この衛生福利部は新規陽性者の1人1人に番号をつけて、毎回、その状況を説明している。4月22日は海外からの入境者で4名の陽性者が確認されたとし、以下のように報告している。
第1084人目の陽性者はカザフスタン籍の30歳代の女性。4月14日に就労目的で台湾入境。飛行機搭乗3日前のPCR検査では陰性。台湾入境後の隔離中の16日に咳の症状、18日に咳と呼吸困難などの症状があり検査したところ、本日22日に陽性が確認された(CT値29、病院検査ではCT値33,血清抗体IgM、IgG共に陽性)。
同じ飛行機の前後2列に座っていた人たち合計7名は現在自宅隔離中。飛行機の乗組員17名は適切な防護をしていたので自主健康管理中。
第1085人目と第1086人目の陽性者はフィリピン籍の20代と30代の女性で、4月7日に就労目的で台湾入境。2人とも飛行機搭乗3日前の検査では陰性。入境後は隔離施設へ移動。
4月20日の隔離満了前に検査を行ない、本日22日に陽性反応を確認(第1085人目CT値30、病院検査ではCT値33、血清抗体IgM陰性、IgG陽性。第1086人目CT値36、病院検査ではCT値35、血清抗体IgM陰性、IgG陽性)。台湾滞在期間中は無症状で接触者はなし。
第1087人目の陽性者はインドネシア籍の30歳代船員。今年3月25日に就労目的で台湾入境。飛行機搭乗3日前の検査報告書では陰性。入境後に隔離ホテルにて4月8日まで隔離し、2週間の隔離期間終了後、場所を移して引き続き自主管理期間に。
仕事の関係で4月20日に会社が手配した病院で自費検査を行ない、本日22日に陽性を確認(第1087人目CT値32、入院後検査はCT値34、血清抗体IgM陰性、IgG陽性)。台湾に入ってから無症状。自主管理期間中は1人部屋で接触者はなし。病院での検査の際は接触者は皆防護服を着用していたので接触者はなし。
台湾衛生福利部のフェイスブックページより
台湾の多くの人はこの衛生福利部から発信される毎日の新型コロナウイルス関連情報をチェックしており、またこの情報を信頼している。
罰金制度を含む徹底した対策と個人個人の意識が功を奏す
台湾は早くから中国からの入境を制限する措置をとり(政治的要因もあり、運がよかったのもあるが)、マスクの輸出禁止や皆にマスクが行き渡るように購買制限やマスクマップなどの作成、水際対策として入境者全員を対象に14日間の隔離をきっちり行なっている。
この隔離期間中に対象者が隔離施設から外に出たりすると、たちまち警察官が来て、違反者には10万~100万台湾ドル(約38万~380万円)の罰金が科せられる。皆も、感染症を抑え込むにはこれくらいの罰金制度は当たり前という認識だ。
実際に、隔離中にクラブに行った若者もいたが、すぐに見つかり罰金を払わされ、さらに台湾中のニュースで大きく取り上げられて、多くの人から厳しい非難を受けた。
台湾の人たちはルールを守らない人に対してはとても厳しい態度で接している。
また、台湾ではSARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)の経験などもあり、感染症に対して多くの人が用心しているので、「安心」と言われている現在でも、1人1人が手洗い、消毒、マスク着用を徹底している(公共交通機関ではマスク着用が義務付けられており、違反者には罰金1万5000台湾ドル=約5万8000円が科せられる)。
これらの徹底した対策(罰金制度含む)と個人個人が気をつけて行動していることによって、普段と変わらない生活を送ることができている。
台北繁華街西門町の賑わい【撮影/上田尾一憲】
小さな居酒屋にも行列【撮影/上田尾一憲】



