湖南省の中南大学大学院在籍中に邱永漢氏と出会い、卒業を待たず、2005年から氏が亡くなる2012年5月まで秘書として中国ビジネスと中国株を直接学んだ上田尾一憲さん。2014年からビジネスの拠点を台湾に移した上田尾一憲さんが、台湾の新型コロナ対策が成功した理由と、台湾人の日本に対する思いをレポートします。
台北ではホテルの部屋の明かりで「ZERO」文字が輝いた
5月下旬、日本で新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が解除され、日本国内もだいぶ落ち着いてきたかのように見えていた。しかしその後ふたたび感染者が増え、6月3日には、東京アラートが発動され、レインボーブリッジ、都庁が赤く染まった。
そのころ、私が暮らしている台湾の台北では、老舗ホテルの圓山大飯店(グランドホテル台北)の部屋の明かりを使って作った「ZERO」の文字が毎夜輝いていた。このZEROはもちろん新型コロナウイルスの新規感染者が台湾全土でゼロということを表している。
このZEROの文字は、見るたびに、台湾は安心して暮らせるいい場所だなぁ、政府が一生懸命効果ある政策を考え、そして早急に実行してくれ本当にありがたいと、心からそう思わせてくれる。現在では台湾では感染者ゼロが当たり前なのでZEROと表示することはなくなり、ホテルにもお客さんが訪れるようになった。
6月6日の圓山大飯店のロビー【撮影/上田尾一憲】日本人の行動、政府の無策に、多くの台湾人が驚愕
台湾に住んでいると、政府の新型コロナ対策や開示する情報を台湾の皆が信頼し、官民が一致団結して新型コロナウイルス感染防止に取り組んでいるのがよくわかる。
危機的な状況にもかかわらず、パチンコ屋に行列ができたり、「他県ナンバー狩り」が横行したり、コロナに感染しているのを知っていながら飲み屋でウイルスを撒き散らすおじさん(?)がいたり(これは特殊なケースだが)などの日本のニュースは、台湾でも報道された。それを見た台湾人の誰もが、日本で起こっていることに「信じられない」と吃驚した。
こういったことをする人たちはもちろん問題だが、このような行動が可能なこと自体が問題だと、日本政府のコロナ対策はどうなっているのかと、多くの台湾人から疑問の声があがった。
これまでの日本というと、東日本大震災など大災害の後でも国民が一致団結して秩序を保ち、落ち着いて乗り越えている様子が海外メディアで伝えられ、「こんな時でもしっかり列を作って並んでいる! さすが日本人!」と、台湾人も中国人も、世界中の人々が日本人は素晴らしいと絶賛した。
しかし、今回の日本人の行動については到底理解できず、これまでの日本人のイメージとは大きくかけ離れていて、大好きだった日本に失望したという人もいたほどだ。




