石油・天然ガス価格は足元、冬季を控え、エネルギー供給ひっ迫の懸念から高騰。米原油先物は過去1年で倍に値上がりして、バレル当たり節目の80ドルを上回り、7年ぶりの高値圏。天然ガスも過去半年でほぼ同じペースで跳ね上がっており、100万BTU(英熱量単位)当たり5ドル台に乗せている。
米国では代替エネルギーが伸びているものの、全体の消費量に占める化石燃料の割合はなお8割に上る。輸送向けの主要燃料である石油の需要は向こう数年にわたり拡大する見通しだ。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の石油需要は2026年まで毎年伸び続け、同年に日量1億0400万バレルでピークに達すると予想されている。これは2019年比で4%増の水準だ。
これまでは価格が上昇し供給が限られると、米石油・ガス会社はすぐさま増産に動いた。未上場の生産会社は足元でも増産に踏み切っているが、上場会社は不満を抱える投資家を満足させるよう圧力を受けており、自社株買いや増配を実施する一方で、投資を圧縮している。上場会社は来年、石油生産への投資をやや増やす見通しだが、大半は生産を拡大していない。
そのため非公開企業の重要性がかつてないほど高まっている。米国で現在稼働している石油・ガスの掘削リグ約600基のうち、59%は非公開企業が運営するものだ。2019年1月時点ではリグ1150基のうち、非公開企業の割合は42%にとどまっていた。チューダー・ピッカリング・ホルトが分析した。
エネルギー専門のPE投資会社エンキャップ・インベストメンツのマネジングパートナー、ダグ・スワンソン氏は「米国のエネルギー供給は非公開企業が押し上げる必要がある。上場企業は生産拡大に資金を投じるのではなく、資金を還元するよう投資家からの要求にさらされているためだ」と話す。
ところが、こうした非公開企業の多くを傘下に置くPE投資会社はエネルギー事業への投資を縮小するか、撤退に動いている。ブラックストーンやアポロ・グローバル・マネジメントなどPE大手は従来型エネルギーへの投資にはかつてほど力を入れておらず、太陽光や風力など環境に優しいエネルギー源に積極的に資金を振り向けている。
例えば、ブラックストーンは商業用不動産の屋根や駐車場で太陽光パネルの設置・運営を手掛けるアルタス・パワーに出資。2019年以降、債務による5億ドル相当の資金調達を主導。3億ドル相当のアルタス優先株を引き受けている。
エネルギー専門のPE会社は現在9社で、同業界に出資可能な資本は合計220億ドル相当だ。2018年の29社、900億ドル相当から、PE数、資本規模ともに大きく落ち込んでいる(RBCキャピタル・マーケッツ調べ)。



