世界で最も重要な機械は、その名を聞いたことがなくても最も価値のある企業が製造している。
極紫外線(EUV)露光装置は、スマートフォン、コンピューター、データセンターなどで使われる半導体の回路を基板に焼き付けるのに不可欠だ。世界に現存するのは数百台に過ぎず、その全てをオランダの半導体製造装置大手ASMLが製造している。しかし、世界経済全体を支えるこの技術的驚異は、同社製品の中で最も切望されているものではないかもしれない。
同社はEUV露光装置よりさらに入手困難な製品も販売している。EUV露光装置の「レゴ」版だ。
このコレクターズアイテムは、ASMLの認証済み電子メールアドレスを持つ従業員だけが購入できる。1人につき1セット限定で、この方針は現在厳格に適用されている。
どちらも希少だが、半導体を製造する巨大な機械と、踏むと悲鳴を上げるほど痛い子ども向け玩具との間には、いくつかの違いがある。
本物のEUV露光装置は10万点を超える部品で構成されている。一方、ミニチュア版は1000ピース未満で構成されており、極紫外線を表現する紫色の稲妻型ピースや、バニースーツ(クリーンルーム用防じん服)を着たレゴフィギュアも含まれている。
強力なレーザーと超精密なミラーレンズでできている本物のEUV露光装置は最大4億ドル(約640億円)で販売されている。カラフルなプラスチックブロック製の方は約200ドルだ。
半導体工場に導入されているシステムを構築するには、何十年にもわたる先駆的な研究と奇跡的な科学のブレークスルーが必要だった。それをレゴで再現したのは、たった一人の人物だった。
このコレクターズアイテムはASMLの認証済み電子メールアドレスを持つ従業員だけが購入できる
ASMLの最も意外なヒット商品の生みの親は、データアナリストのリック・レンセン氏だ。同僚の中には今や同氏を「ブリック・レンセン」と呼ぶ人もいる。
この精巧な機械をブロックの山に変えるプロセスは数年前に始まった。オランダで開催されたレゴフェアにレンセン氏が幼い子どもたちを連れて行ったことがきっかけだった。夢中になったのはレンセン氏自身だった。39歳の父親である同氏は帰宅後、「BrickLink(ブリックリンク)」というサイトを調べ始め、手持ちの古いレゴセットの足りないピースを探し出した。やがて、ソフトウエアを使って独自のセットのデザインを試すようになった。







