ウィーンにあるOPEC(石油輸出国機構)本部の外観Photo:Christian Bruna/gettyimages

 石油輸出国機構(OPEC)の分裂。ペルシャ湾の封鎖。世界一の化石燃料生産を背景に強気の姿勢を取る米国。

 イラン戦争は石油市場の長年の基盤を揺るがしており、より分断され、より不安定になる可能性があるエネルギー世界の到来を告げている。海上を通じた石油の自由な流通は終わり、資源ナショナリズムが台頭している。

 世界のエネルギー地図における最新の亀裂は28日に生じた。アラブ首長国連邦(UAE)はこの日、サウジアラビアが主導するOPECからの脱退を表明し、好不況の波があることで有名な石油産業の制御などを目的に設立された産油国カルテルに大きな打撃を与えた。UAEは独自路線を歩むという。

 この脱退やその他の動きによって石油市場では、経済効率を中心とする構造から、政治と紛争で形作られた市場への変化が加速している。アジアや欧州の主要輸入国は、中東産の化石燃料への依存を減らし、エネルギー消費の削減や国内生産の拡大を急いでいる。米国などの輸出大国は、1世代に1度のエネルギーショックが起きる前から需要拡大の見通しが不透明だった世界市場において、シェア争いを繰り広げている。

「つまり、自分の身は自分で守らなければならない状況だということだ」と、米調査会社ユーラシア・グループのイラン専門シニアアナリスト、グレゴリー・ブリュー氏は語った。

 問題は、それがどのくらい続くかだ。石油市場のさまざまな「ガードレール」の誕生は、OPECが本格的な価格決定力を確立した1970年代にまでさかのぼる。米国を含む西側諸国は供給ショックを回避するための石油備蓄を始めた。その後、リスクを分散し価格変動を低減するために先物市場が創設された。エネルギー需要が旺盛だった米国では、ペルシャ湾での死活的な権益を守る「カーター・ドクトリン」が、ペルシャ湾を通じた原油の自由な行き来が重要な国益であることを改めて示した。