脱化石投資で変化、エネ高騰の恩恵は誰に?Photo:Mikhail Svetlov/gettyimages

 エネルギー投資家は極めて望ましい時期を迎えているはずだ。ただ、これを享受できる投資家はそう多くは残っていない。

 長年にわたるリターン低迷と石油・ガス事業からの撤退を求める顧客の圧力を背景に、足元の価格高騰に便乗して生産を拡大できるのは、規模が小さい企業であり、数も減っている。また銀行がエネルギー関連融資に後ろ向きなことも供給拡大の足かせとなっている。

 残っている企業は増産に乗り出しているが、規模が比較的小さいため、生産量を著しく押し上げることはできない。投資家は化石燃料から資金を引き揚げ、ESG(環境・社会・企業統治)評価の高い企業へと振り向けている。

 クオンタム・エナジー・パートナーズを率いるウィル・バンロー氏は「石油・ガスは過去5年間、リターンが全業界の中で最悪だった。リターンは不安定で、投資家はESGのプレッシャーを感じている」と話す。エネルギー関連の大手プライベート・エクイティ(PE)投資会社で残っているのは一握りで、運用資産180億ドル(約2兆円)を抱えるクオンタムはそのうちの1社だ。バンロー氏は「巨額の資本が引き揚げられた」と話す。