査定書作成の作業時間を大幅に短縮するITツールを展開
SREホールディングスは、リアルビジネスである不動産仲介事業を手がけながら、その現場のニーズやオペレーションの課題を丁寧に拾い上げ、ITによる解決を模索する。社内にリアルとテクノロジーを担うチームそれぞれを擁しているので、双方向のフィードバックの上に〝本当に使える〟真のDXソリューションを開発・提供できている。
そのプロダクトの代表的なものが、独自開発の不動産価格推定エンジンを用いた「SRE AI査定CLOUD」だ。AIが自動で不動産価格を査定し、地図表示や類似事例などを加えた査定書を簡単に作成できるSaaS型クラウドサービスで、マンションはもちろん、一般的に物件の個別性が強いため自動査定が難しいとされる土地や戸建てにも対応する。それまで査定1件に180分ほどかかっていた作業時間を最短5分に短縮し、営業担当者による査定以上の精度も実現している。
執行役員
クラウドソリューション事業本部長
清水孝治氏
「不動産仲介事業を行う現場から、不動産価格の査定書作成に時間と手間がかかり過ぎるという課題が出たのです。その解決のため、システム開発のチームが2016年にプロトタイプを開発。社内の仲介事例のビッグデータを使用しながら現場で使ってブラッシュアップを重ね、18年から外部への販売を始めました。昨年12月末の時点で、全国2700社の不動産仲介事業者が契約をしています」。そう説明するのは、クラウドソリューション事業本部長の清水孝治執行役員だ。
さまざまなパートナー企業と連携した膨大なデータと先進的なAI技術を融合した結果、豊富なマーケットデータに加え、地図上から周囲の道路幅を自動的に計算する機能もあり、データにはない日当たりの良さや眺望などのアピールポイントも導き出せる。
導入すれば、査定や資料作成の時間が短縮できるだけでなく、精度の高い査定であるため、顧客に査定金額やその根拠を納得してもらいやすくなる。さらに、査定作業に費やしていた時間を自社の特徴を伸ばすために使って、他社との差別化も図れる。
「これまで査定書を作成するためには知識や経験が必要でしたが、SRE AI査定CLOUDであれば、操作もシンプルなので、入社間もない新入社員でも精度の高い査定書を作成することができます。生産性が上がるので、業務量が増えても対応できる。そうした点からも、高い評価を得ています」