――2025年1月に「社内カンパニー制」の導入という大掛かりな組織改編を実施しました。その狙いは何ですか。 

日本事業の強靱化・再構築を加速させるため、国内を三つのエリアに再編しました。北海道・東北を「Eastカンパニー」、中国・四国・九州を「Westカンパニー」、そしてカンパニーという呼称ではありませんが、東名阪(東京・名古屋・大阪)を一くくりにする形に改めています。 

再編の目的は、経営判断を速め、各エリアのマーケット特性に最適化した事業を展開するためです。

当社のビジネス手法や組織体制は、長らく全国一律でサービス提供することを前提としてきました。しかし、実際に求められるサービスの内容や規模はエリアごとに大きな違いがあります。例えば、東京、九州、北海道では、全く異なります。それを各エリアの実態に即応できる体制に改めました。人事配置や組織変更などに関する権限も各カンパニーに委譲し、経営の自由度を高めていきます。

東名阪エリアは世界戦略の起点になる

 ――事業環境が大きく変化する中で、各エリアで求めるものや目指す方向性に違いが生じてきたということですね。 

その通りです。EastとWestの両カンパニーでは、売り上げ拡大よりも、利益率と資本効率の向上を重視していきます。このエリアには、いまだ機能を十分に生かし切れていない資産、マーケットと地域事情の変化によって、以前ほど使い切れていない資産が眠っています。それらを有効活用していくことで資本効率を高め、利益率の向上を目指します。状況次第で事業の入れ替えも選択肢に入れます。そうしたもろもろの経営判断をスピーディーに進めていきます。 

他方、東名阪エリアでは、売り上げ拡大と利益の最大化にこだわっていきます。これら大都市圏には、グローバル展開する大企業のほか、大手外資系企業の拠点などが集積し、NXグループのグローバル事業を展開する起点になるからです。 

グローバル市場を主戦場とする顧客に対し、サプライチェーン(SC)のエンド・ツー・エンドのソリューションを提供していくというNXグループの戦略上、非常に重要なエリアになります。 

――売り上げ・利益の拡大に向けた戦略として、顧客をサポート・管理するアカウントマネジメントの強化を打ち出しました。大手顧客の営業窓口となる「アカウント事業所」の設置を進めています。

日系グローバル企業など175社を対象にアカウント事業所を設置します。25年1月時点でほぼ半数に当たる84社に対して専任の営業責任者を配置しており、残りも25年の早い段階で配置が完了します。対象顧客は半導体、モビリティ、電機・電子など当社が重点産業に位置付けている業種が中心です。

アカウント事業所の営業責任者は、それぞれの顧客の全社的な営業窓口となり、物流改善に向けたソリューションを提案するだけでなく、実際にフォワーディング(集荷・混載)や倉庫などのオペレーション部門と緊密に連携して高品質なサービスを提供します。

例えば、顧客の意思決定部門が東京にある場合でも、実際のサービスを行う現場は地方や海外に広がっています。営業責任者はSCのエンド・ツー・エンドを捉えながら、各部門と連携してアカウントマネジメントを展開していくわけです。

顧客によっては、当社のサービスが一部にとどまっている場合もあります。そこで、アカウントマネジメント体制を深化させ、より広い範囲で当社のサービスを使っていただく機会を増やしていきます。