トラック輸送は、国内貨物の9割を担う物流の主役。暮らしや経済を支える社会インフラとしての重要な役割を果たす。そのトラック輸送を支え、円滑な「モノの流れ」に貢献しているのがトラックターミナルだ。
日本自動車ターミナル(JMT)は1965年の創立以来、環状7号線の外周部に立地する4カ所の公共トラックターミナルの運営を通じ、「物流の結節点」として機能してきた。JMTのターミナルは、特積事業者(特別積合せ貨物運送事業者)と呼ばれる運送事業者が数多く利用している。黒沼靖社長は「東京都内に点在していた各社の専用ターミナルを当社の公共ターミナルに集約することで、輸送効率を高めてきました。大型車による長距離都市間輸送と小型車による都市内のラストワンマイル配送をスムーズにつなぐ積み替え拠点として、交通混雑の緩和にも大きな役割を果たしています。『物流の合理化』『道路交通の円滑化』『都市機能の向上』に資する企業であり続けることが企業理念であり、当社の揺るぎない存在意義です」と語る。
東京の物流を支え「連携・協働の場」を創出
JMTの拠点が主要幹線である環7沿線に立地していることにも意味がある。
「東京に向かう大量の物資を積んだトラックを環状線のサークル(円)によっていかに制御し整流化するか。沿線に四つの拠点を効率的に置くことでネットワークとしての相乗効果を高めています。都心部の要衝地に広大な敷地を持つ拠点を運営していることは、当社の立地戦略における強みでもあります」
四つのターミナル全てが、都市計画によって造られロジスティクス機能に特化した、流通業務団地内に立地しているため、近隣住民に負担をかけることなく24時間365日稼働ができることも優位性に直結している。
物流業界の大きな課題は、「2024年問題」に象徴されるように、トラックドライバー不足をはじめ、物流の持続可能性を確保することだ。その中で、JMTはトラック輸送を支える立場から課題解決にいかに貢献できるかを考え続けている。
その一つが「連携・協働の場」の創出だ。人材・車両など経営資源を有効活用するための物流共同化が不可欠になりつつある中、「当社は長年にわたり、60社を超えるお客さまに対し、対面でのさまざまなリレーションを可能にする“場”を提供しています。さらに、こうした交流を活性化するために、ハード・ソフト両面にわたる取り組みを進めています」。
その事例の一つが、板橋トラックターミナル(東京都板橋区)における2層式バース(荷さばき施設)の整備だ。具体的には、従来の平屋建てバース8棟を、2層式バースに集約・再編する。2023年に竣工した「JMT板橋新1・2・5・6号棟」に続き、今春竣工予定である「JMT板橋新3・4・7号棟」を一体化させて運営する。「特積事業者同士の連携・協働を施設面からサポートします。新施設では、お客さまの快適な職場環境づくりにも力を入れました」。

また、JMTのターミナルには荷主企業も数多く利用する物流センターも整備されており、特積事業者同士の“横の連携”に加え、荷主企業と特積事業者との“縦の連携”を生み出す場としてもJMTの拠点は大きな可能性を秘めている。「“運ぶこと”の価値が高まる中で、同じ敷地内に多くの運送事業者がいることは、荷主企業にとって心強いはず」と強調する。