「物流の持続可能性を考える」という意味において、欠かすことができないのが、災害対応だ。

黒沼社長は、「BCP(事業継続計画)の取り組みなくしてサステナビリティを語ることはできません」と言い切る。

「災害大国である日本において“何も起きない”という考えは禁物。仮に大きな災害が起きても、可能な限り早く復旧する復元力、レジリエンスが必要です。そのためには、強さだけでなく、しなやかさを兼ね備えた“強靱性”が重要になります。とりわけ物流拠点の運営事業者は、組織としてそうした対応力を持っている必要があると考えています」

災害などの有事でもターミナル機能を維持

JMTは、東京都の地域防災計画に基づく広域輸送基地に指定されているほか、国の民間物資拠点としての役割も担っている。そのため、有事の際にこれらの基地・拠点としての役割を果たすことができるよう、常日頃からあらゆるケースを想定し、トラックターミナルの機能を維持するためのさまざまな訓練を続けている。 

また、自社施設が被災した際における復旧マニュアルの整備、さらには大手ゼネコンをはじめ、30を超える会社との応急復旧体制を構築するなど、災害に強いトラックターミナルとしての取り組みも行っている。 

加えて、BCPから実行段階をきめ細かく想定したBCM(事業継続マネジメント)へと昇華しているのも強みだ。

「特積事業者の皆さまとの対面による緊密な関係性が当社の強みであり、円滑な緊急支援物資の輸送にも結びつきます。目に見えないノウハウや取り組みの積み重ねこそが、いざというときのレジリエンスにつながります」と力を込める。

いかなるときも物流を止めない。トラックターミナルに息づく、強い「矜持」と「使命感」災害時、有事を想定した訓練の様子

今年、創立60年を迎えるJMT。100年企業に向けた同社の将来ビジョンについて「二正面で考えていく」と黒沼社長は語る。

「一つは物流拠点としての機能をいかに発揮してステークホルダーであるお客さまに貢献できるか。もう一つは日本経済のダイナモである東京の都市機能向上にこれまで以上に寄与していくこと。そのためには、自動運転や物流DX(デジタルトランスフォーメーション)など物流業界の変革にも柔軟に対応していかなければなりません」 

そして、何よりも公共トラックターミナルとして発足したJMTが担う使命は明白であるという。「暮らしや経済を支える社会インフラとしての物流を支え続けていくこと。これを胸に刻んで事業運営を続けます」と繰り返し強調した。

Chapter8 「100年企業」への挑戦。共に歩む物流新時代「持続可能なトラックターミナル」
Chapter7 圧倒的な立地優位性で物流の連携・協働を支援する「公共トラックターミナル」の可能性
Chapter6 首都のトラックターミナルに変革の波。物流の未来を示す「夢のビッグプロジェクト」へ
Chapter5 "選ばれる"トラックターミナル 変革する首都の物流機能を支え続ける
Chapter4 変貌するトラックターミナル 首都物流変革の切り札に
Chapter3 都市物流効率化のカギを握る「トラックターミナル再開発」
Chapter2 深刻なドライバー不足、物流危機をいかにして乗り越えるか
Chapter1 東邦ホールディングスはなぜ「ダイナベース」を選んだのか?

●問い合わせ先
日本自動車ターミナル株式会社
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-9
TEL:03-3556-0781
https://www.j-m-t.co.jp/