あるいは、異次元金融政策が人々の将来に対する前向きの期待を高め、土地や株といった資産価格の高騰を引き起こす一方で、実体経済に火がつかず物価も目標に届かぬ場合、一層の金融緩和を進めることになるが、それは資産バブルにつながっていく。バブルは必ず破裂するわけで、経済は大混乱し、巨額の赤字を抱えるわが国の国債は暴落する。
もう一つ、物価がターゲットの2%を達成した際、円安が進んで輸入インフレになる可能性も十分ある。インフレによって長期金利が急騰していけば、大量の国債を発行している政府の利払いは急速に増加し、経済成長に伴う税収増があっても財政は悪化する。
このように、さまざまなシナリオのもとで、出口をしっかり押さえておかなければ、わが国の財政状況が注目を浴び、異次元金融緩和政策は実際には財政ファイナンス(マネタイゼ―ション)ではないかと判断され、日本国債の信用度の維持が焦点となる。その際には、政府がいかに財政再建にコミットしているか、それを具体的な政策として採用しているかが、投資家たちによって厳しく問われるのである。
つまり、出口戦略というのは、金融政策の話ではなく、財政政策の話で、政府・日銀が、それぞれの役割を分担しつつ、有機的に機能しているかどうかが問題とされる。これが出口戦略の本質だ。
重要な財政政策に向けたコミット
このように考えると、政府の財政政策に向けたコミットを以下のように考えていく必要がある。
まず2014年4月に予定されている消費税率8%への引き上げである。この実施について安倍総理は、「秋口に判断」といっているが、4~6月の景気動向がわかる第1次QE(GDP第1次速報)の発表時である8月下旬には決断を行い、財政健全化に向けた政府の確固たる方針を、世界に知らしめることが必要ではないか。自民党政調会長は判断時期を10月まで遅らせるべきだと発言したが、逆である。



