異次元金融緩和に潜むリスクがジワリと顕在化しつつある。リスクを大きくしないためには、「出口戦略」が重要だ。その中核をなすのは、政府の財政再建に向けてのコミットメントである。このことの認識を政府がしっかり持つことがリスク軽減に役立つ。
23日東京市場の株価が1000円以上急落した。翌日株価は反転したが、週明けの月曜日には再び500円近い下げとなった。アベノミクス、異次元金融緩和のリスクの大きさを改めて認識させる貴重な急落であった。今後、異次元金融緩和の「出口」に向けたハンドリングを誤ると経済は大混乱するだろう。
未だデフレ脱却も果たしていないのに、出口戦略を語るのは早すぎるという意見もあるが、リスクを語らない経済政策というものは、あり得ない。
「出口戦略」のもたらすリスク
「出口」を簡単に定義しておくと、2年後に消費者物価2%の上昇(消費税率引き上げ分を除く)という目標の到達が視野に入ってきたとき、その時点の経済情勢を踏まえて、どう物価をコントロールしていくのかという点についてのあらかじめの政策だ。
わかりやすく言うと、異次元金融緩和で大量の国債などを保有した日銀が、その保有資産を経済混乱なしにどう処理していくのか、ということであり、異次元金融緩和が財政ファイナンスではなかったということを市場に認識させることでもある。
出口戦略がうまくいかないと、異次元金融緩和は、経済を大混乱に陥れる可能性が高い。以下のような局面(リスク)が考えられる。
例えば、インフレターゲット達成後、ただちに金融引き締め、日銀保有国債の市場売却を行えば、国債価格は大暴落し、金利は急騰するリスクが大きい。