日本企業には世界に誇る技術がある。しかし、それが企業の「稼ぐ力」に結び付いていないのが現実だ。
内閣府の経済分析(2023年度)によれば、過去20年間で米国や欧州の企業がマークアップ率(価格転嫁力)を上昇させているのに対し、日本はほぼ横ばいで推移している。
OECD(経済協力開発機構)の基準に基づく国際比較調査でも、日本の新製品・新サービスの市場投入割合(イノベーション実現率)は欧米諸国より構造的に低いことが浮き彫りになっている。
この停滞の主要因として指摘されているのが、知的財産(知財)などの「無形資産」への投資と活用の遅れである。
なぜ日本の知財は利益を生まないのか。最大の課題は、多くの企業において特許などの知財がいまだに他社からの模倣を防ぐ「守りの道具」にとどまっており、経営の意思決定に生かし切れていないことにある。グローバル競争が激化し、ビジネスモデルが急速に変化する現代において、「知財をきちんと経営に組み込めるかどうか」が企業の将来を左右する。解決策は明確だ。
第一に、知財情報とマーケット情報を掛け合わせ、自社の競争優位性を客観的に分析すること。第二に、知財を現場の権利保全業務として終わらせるのではなく、経営の最上流から戦略的に活用し、直接的な「稼ぐ力」へと転換することである。
折しも、コーポレートガバナンス・コードの改訂により、企業は知財投資について経営戦略に沿った具体的な情報開示を求められつつあり、「待ったなし」の状態である。
知財は経営戦略のアクセルとなる強力な武器
とはいえ、「理念は理解できても、具体的にどう実践すれば良いのか」と頭を抱える経営陣は少なくない。
ここで知財戦略を劇的に前進させる転換点となるのが、「知財テック」や「知財コンサルティング」といった外部の専門的な力である。社内の知財部門や研究開発部門だけで情報を抱え込む時代は終わった。
例えば、最新のAIを搭載した知財管理システムを導入すれば、世界中の膨大な特許データと自社の技術を瞬時に分析し、これまで気付かなかった他業種との知財マッチングや新たな市場ニーズをあぶり出すことができる。
また、特許・法律事務所や知財コンサルの高度な知見を借りることで、難解な技術データを経営陣が即座に判断できる「戦略の羅針盤」へと翻訳することが可能だ。外部の専門知識と最先端テクノロジーを駆使し、知財を真のプロフィットセンターへと変貌させることが、停滞を打破する最大のブレークスルーとなる。
知財はもはや、単に「管理」するだけのものではない。経営戦略のアクセルとなる強力な武器である。知財テック、知財コンサル、特許・法律事務所をはじめとする外部の専門家の優れた製品やサービスの優位性も活用し、自社の知財経営を次の次元へと引き上げることが必要だ。

