通称“長妻プラン”の余波
そうなれば、労働現場では二つの問題が浮上するだろう。
一つ目は、多くの派遣社員が失職するリスクだ。
10年2月、長妻昭厚労相(当時)の肝いりで「専門26業務適正化プラン(通称“長妻プラン”)」が実施された。期間制限のない派遣労働者が酷使されているので取り締まろうという目的だったが、この制度は結果的に、専門26業務から派遣社員を長きにわたって締め出し失職させた。人材会社が業務改善命令を受けたり、労働局の指導で派遣社員の雇用契約が終了するケースが増えたりした。
こうした状況下で、企業が派遣社員を入れ替え続ける期間が3年程度続いた結果、「来年5~7月にかけて、3年の雇用期限を迎える派遣社員が多数いる。改正法が施行されなければ、彼らは派遣先に直接雇用されることなく、路頭に迷う」(人材会社幹部)という。
二つ目は、派遣社員を使っている派遣先にも混乱が生じる点だ。
改正法が4月に施行されることを前提に導入された、「労働契約申し込みみなし制度(みなし制度)」が、来年10月1日にスタートする。派遣先が、違法派遣と知りながら派遣社員を受け入れている場合に、派遣社員に労働契約の申し込みをしたもの、と見なす制度のことをいう。
改正法が施行されなければ、定義が不明瞭な「専門26業務」も廃止されない。つまり、違法派遣であると判断する根拠が曖昧なままに、みなし制度が見切り発車してしまう。派遣先の混乱は避けられそうにない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)



