労働者派遣法の見直しが始まった。派遣の雇用実態と乖離していたり、法解釈が難解だったりするためだ。派遣労働者、正社員を巻き込む大幅改正になりそうだ。

 派遣労働者も正社員も──。雇用形態の区別にかかわらず、能力とコストで選別される時代がやって来るかもしれない。正社員のあなたも、派遣改革の行方と無縁ではいられない。

 8月20日、厚生労働省の有識者会議「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が、労働者派遣法の見直しに関する最終報告を行った。派遣労働者の定義を根底から覆すような“大幅な見直し”を示唆する報告だったにもかかわらず、議事は淡々と進行し、30分程度で閉会した。

 本番はこれからだ。この報告書がたたき台となって、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で議論されることになっている。賛否両論が予想されるとはいえ、「あらを探すことはできるが、派遣労働者の雇用安定化が大前提に据えられているので、総論では反対しにくい、巧みな制度設計になっている」(派遣法改正反対派の弁護士)と舌を巻く。

報告書をたたき台に、派遣元よりも派遣先に有利な法改正となる見通し(写真中央は、緑化壁面が特徴的なパソナ本社ビル)
Photo:PANA
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 早ければ来年3月にも労働者派遣法が改正される見通しだ。実は、現行法は民主党政権下にあった昨年10月に施行されたばかり。1年半にも満たないタイミングでの改正議論は異例のことだ。

 1985年に制定された労働者派遣法は、度重なる規制緩和を経て派遣労働者数は200万人に迫った。だが、リーマンショック後の雇用情勢の悪化、実態にそぐわない法律を厳格化した「専門26業務派遣適正化プラン」が響き、近年の派遣労働者数は減少している(下グラフ参照)。