「住宅価格が上がっている」「ますます買いにくくなってきた」──そんなニュースを耳にして、気持ちが沈んでいる人が少なくない。しかし、ちょっと待ってほしい。確かに価格上昇の動きはあるけれど、まだまだ求めやすい物件もたくさんある。予算3500万円からの着実な住宅取得に向け、ここは市況を探り、策を練ってみたい。
都心と郊外で異なる
価格の動き
今、住宅市場はどのような状況にあるのか。不動産経済研究所のまとめによると、2014年の全国マンション発売戸数は前年より21%減の8万3205戸で、5年ぶりに減少に転じている。
平均価格は3.2%上昇し4306万円。首都圏は2.7%上昇し5060万円で、1992年以来の5000万円越えとなった。高値傾向は15年も続くのだろうか。
「確かに労務費など建設コストの上昇は続いています。15年は東京都心や湾岸で話題性のある大型物件の分譲が相次ぐため、富裕層向け物件により、ますます価格上昇の印象を強める人も多いでしょう。しかしそうしたエリアを除けば、価格は最近落ち着きを取り戻しつつあります」(不動産経済研究所・松田忠司主任研究員)
昨年4月以降、「価格上昇」を見越し、マンションを売るデベロッパー側も購入者側も“様子見”に入ったことが、市場の冷え込みにつながった。しかし12月からは発売戸数が増え、ゴールデンウィーク商戦に備え、都心や湾岸の大型物件がモデルルームを開設するなど、動きが活発化している。
「都心5区※に限ると、リーマンショック前の価格水準に達していませんから、まだまだ上がる余地はあるでしょう。15年は東京都区部の供給が首都圏全体の50%を超えるため、その分、平均価格も上がると見られます」(松田氏)
都心と郊外の二極化はさらに進む。都心に買うなら値動きを注視したい。郊外に買うならじっくり検討してもよい。ただし郊外は、発売戸数がある程度絞られていくはず。建設コスト上昇分を、価格に盛り込みにくくなるからだ。
「関西圏は14年、発売戸数が23.8%減の1万8814戸と大幅に落ち込みました。15年は持ち直して2.1万戸と増え、大阪市内や北摂・阪神間に超高層物件など大型分譲が相次ぎます」(松田氏)
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大事なことは自分が「買える額」を把握し、「買えるエリア」を特定、戦略的に動くことだ。
■この記事が収録されている「週刊ダイヤモンド」別冊 2015年5月23日号『3500万円からの 住宅購入大作戦 2015春夏』の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。
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