軌道に乗せるまで苦労したというが「自治体運営の動画チャンネルとしては、コンテンツの数、閲覧数とも全国トップになりました。今やふなっしーとも比較される国民的ゆるキャラ、ねば~る君は、いばキラTVでデビューしたんです」。

 13年から「いばらきを知ろう!大キャンペーン」として茨城県出身のピース綾部祐二と渡辺直美が登場するPR動画を公開。15年冬に公開した「のびしろ日本一。いばらき県」は、悲哀と感動のある自虐動画として話題となり、38万回再生。自治体のPR動画としてはなかなかのヒットとなっている。

 次に、将来を担う子どもたちに茨城県に詳しくなってもらおうと、茨城県教育委員会と連携して13年に「いばらきっこ郷土検定」をスタート。茨城の歴史、文化、産業、地理などのマニアックな情報を集めた、いわゆるご当地検定だが、これをなんと、茨城県の全ての中学2年生の授業に取り入れた。

 5人一組のチームで、茨城県の頂点を決める大会が行われる。市町村予選大会には県内の国公私立236校から2万6000人が参加。勝ち残った45校で決勝大会が行われ、最後は涙あり感動あり、白熱の激戦が繰り広げられる。

 また別の学年や一般の人は、「いばらきっ子郷土検定」ウェブサイトで、オンラインで検定を受けることができる。一度やってみれば分かるが、勉強しなければ全く解答できない難しさである。

 さらに、市町村や観光関連事業に携わる人を対象に、「いばらき観光マイスター制度」を設置。認定試験に合格すると、県公認の資格が得られる。

千葉県出身で、20年前から千葉との県境に接する茨城県守谷市に在住。まさしく「ちばらき」民の取出氏 Photo by Ryuichi Mine

 「県の職員が県の良さをいくら発信しても、それだけでは駄目。そこに住む人たちが、外の人に『自分の町のここが好き』『ここがすごい』と自慢するようにならないと。だからといって地域の人に、『もっと地元を愛してほしい』と言っても無駄。知らないものを『好きになれ』と言われてなれるものではないですよ。人に語れるぐらいの知識を持つことで、初めて郷土愛が湧いてくるものだと思うのです」と取出氏は言う。

 今年は魅力的なイベントも開催される。9月17日から11月20日まで、県北部の6市町の海と山を舞台にした「茨城県北芸術祭」が開かれる。豊かな自然と融合した素晴らしいアートが展開されれば、茨城県に対する印象はがらりと変わるかもしれない。

 こうした取り組みが魅力度ランキングに表れるまで時間がかかりそうだが、小手先ではない、本物の郷土愛をつくろうとしている。

「週刊ダイヤモンド」2016年3月26日号特集「ニッポンご当地ランキング」より。

TOP