台湾や米国にも存在する
「台風休暇」とは

 そこで、そろそろ大真面目に、あの制度の導入を考えてみるべきではないか。

 「台風休暇」である。

 ご存じの方もいらっしゃるかもしれないが、日本と同じく台風の通り道にある台湾では、自治体の首長が判断して、会社や学校を休業することができる「颱風假」という制度がある。

 日本でも、学校に関しては、台風警報が出ると「休校」になるという制度があるが、それを民間企業にまで適用しているのだ。

 日本の場合、企業が休業するかどうかというのは基本、各企業に判断が任されている。だから、交通機関が動いている限りは這ってでも出社せよ、という会社もあれば、「台風で出勤大変だから今日は自宅作業でいいよ」という会社が混在してしまっている。自分たちは自由なワークスタイルなのに、取引先が出社するのでそこに倣えという会社も少なくない。

 そこを「台風休暇」で問答無用で休業することで、警察、救急、電力、交通など災害時に迅速な対応が求められる方たち以外が、暴風雨のなかでウロウロすることを防ぐことができるのだ。

 そんな強引なと驚くかもしれないが、「台風が来るので電車の遅延を見越して早めに出勤してください」なんて社員にアナウンスをする日本の方が異常であって、世界的には、この手の死者が出るような自然災害で会社が休業するというのはポピュラーである。

 たとえば、ハリケーン「イルマ」で72人の死者を出したフロリダ州では上陸前、民間企業が自発的に「台風休暇」をおこなった。

 『多数の企業が従業員に休暇を与えて自宅で備えるよう指示し、交通量は少ない。この通りにあるバンク・オブ・アメリカ(BofA)のオフィスの大半の従業員は同日、在宅勤務を命じられ、支店は早めに営業を終了した。モルガン・スタンレーのオフィスや同社のプライベートウェルスマネジメント担当部署に電話をかけると、「手に負えない状況のため」一時的に転送されるとの音声が流れる。』(ブルームバーグ2017年9月8日)

 もし日本のように「台風くらいで会社休めるか」のワーキングスタイルだったら、犠牲者は72人どころではなかったはずだ。