サプリではなく食事を見直すことが
重要である理由

稲島 先ほどナッツでも説明しましたが、不飽和脂肪酸が良いというのは説明のための理屈であって、人々の健康に資する情報は「ナッツを多く摂っている人たちに病気が少なかった」という調査結果です。そして豆類に加えて魚も多く摂ると良いことが示されてきています。私は肉が好きなので、夏目さんとも何度となく焼肉トークしてきましたが、多くの現代日本人はタンパク質を十分に摂れていますから、高齢者を除き、肉を積極的に食べた方が健康に良いということはなさそうです。

 また、大豆はホルモンに関わるがんの発症も抑えます。例えば、男性なら前立腺がんの発症リスクです。日本国内での調査でも確認されています(こちらを参照)。

夏目 なぜこういった作用があるんですか?

稲島 それが特定できないのが難しいところで、面白いところでもあります。大豆のイソフラボンやサポニンに何かいい効果があるんじゃないか、と考えられますが、それだけを抜き出して摂取しても目立った効果は期待できないようです。

 何でもそうで、以前「コーヒーをブラックで飲む方は糖尿病や肝臓がんになる割合が下がっていく」と話したことがありますよね(詳しくは過去記事「βカロテン摂取で肺がんが増える!データで読み解く食品のウソホント」を参照)。クロロゲン酸やカフェインなど、コーヒーに含まれるどの物質が有効なのか気になるところですが、動物実験や細胞実験などでは効果が出るものの、ヒトではエビデンスを言えるほどの結果は得られていません。最近の予防医学では「コーヒーにはこんな力がある、成分はともかく、それでいいじゃないか」という風潮になりつつあります。同様にナッツや大豆の「この物質が体にこう影響するから…」、というのは忘れちゃってもいいです。

夏目 医者がそんなこと言っちゃっていいんですか?テレビとかに出てくるお医者さんたちは、「○○という成分が入ってるからこれ食べましょう」みたいなこと言ってるじゃないですか。

稲島 その成分とやらが良いなら、市販のサプリは良いものだらけということになります。そう言って売ってる商品はたくさんありますが、本来はきちんと臨床試験を経て宣伝すべきです。以前お話ししたβカロテンやビタミンEは効果がないどころか、一部有害事象が多いという結果も出ています。

 病院で処方される薬は厳密な臨床試験で評価されたものが採用されることになっていますので、それを除けば、口にするのはサプリや健康食品ではなく、結局ふつうの食事が良いということを最近の研究は証明してきています。その中で今回はナッツと豆を紹介してみました。