知らず知らずに体の不調を生み出し、日々のイライラから肥満・老化・病気までを生み出すものの正体とは? 缶コーヒーをはじめ清涼飲料水は、私たちの体を蝕む悪魔の飲み物だった! 人体のメカニズムを解析する生化学や、世界中の最新論文を熟知し、20万人以上の臨床経験を持つ牧田善二氏の新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』から、内容の一部を特別公開する。

知らずに体の不調をつくっているものとは?
――いかにも健康に良さそうなものの正体

「今日も1日、頑張ろう」

 保険関係の企業に勤める30代半ばのA氏は、毎朝、会社が入っているビルに設置された自販機で缶コーヒーを買います。それを持って自席につき、飲みながらパソコンを立ち上げメールチェック。こうして1日を始めるのが日課になっているのです。

 A氏のように、缶コーヒーを欠かさないビジネスパーソンをよく見かけます。テレビで流されているCMでは、「すっきり目が覚め、爽やかな気分で仕事にのぞめる」といった印象づけを行っていますから、その影響を受けているのかもしれません。

 しかし、健康を大事に考えるビジネスパーソンにとって、缶コーヒーは悪魔の飲み物。口にするのは絶対に避けたほうがいいのです。

 缶に限らずペットボトルも同様ですが、そうしたものに入った「コーヒー飲料」は、カフェで売られているいれたてのコーヒーとはまったくの別物。「砂糖の塊が解けた液体」に過ぎず、健康に悪いことはあってもいいことなど1つもないからです。

 下の図0-1を見てください。よく見かけるコーヒー飲料の、1本あたりの糖質含有量を示してあります。

「ボス とろけるカフェオレ」という商品の場合、100ミリリットルあたりの糖質(*)は8.9グラムですが、500ミリリットルのペットボトル1本を飲むと、角砂糖にして、なんと11個分くらいに値します。「ジョージア マックスコーヒー」という商品も250グラムと容量は多くないですが、1本あたり角砂糖6個分に値します。

*正確には炭水化物=糖質+食物繊維だが、食品中の食物繊維はわずかなので、ここでは糖質≒炭水化物とする。

 コーヒー飲料に限りません。下の図0-2にあるように、自販機やコンビニで売られている身近な飲料は、大量の糖質を含んでいるものが多いのです。

 コーラなどの甘い清涼飲料水が糖分を多く含むことはわかるとして、注意が必要なのはいかにも健康に良さそうな商品です。代表的なところをあげただけで、ウイダーinゼリー・エネルギーに45グラム(角砂糖11個分)、C.C.レモンに50.5グラム(角砂糖12個分)、デカビタCに28・3グラム(角砂糖7個分)といった具合に大量の糖が含まれています。

 本来、健康な人間の体内には約4.5リットルの血液があり、その中のブドウ糖濃度(血糖値)は空腹時90mg/dlです。つまり、その血液中には4グラム前後のブドウ糖が存在します。それだけあれば十分だから、この数値なのです。

 では、4グラムでいいところに、コーヒー飲料などを飲んで、いきなり大量の砂糖がドバーッと入ってきたらどうでしょう。人間の体がまったく想定していなかった、ばかげた事態が起きるのです。

追記:本ページの記事内容は2017/9/22公開時点で、ミルクで割って飲む4倍濃縮の希釈用商品を同列に扱っており、誤解を招いてしまいました。内容を再度吟味し、本文を一部訂正いたしました。また、表を作り直し、新たに100ml/100gあたりの炭水化物量を明記しています。(2017/9/27)