水素ステーションの運用状況がこの有様では、FCEVが増えるわけがない。自動車検査登録情報協会によれば、2017年末時点での日本のFCEVの保有状況は全国で乗用車1807台、バス5台、トラック1台の計1813台。その大半が行政、法人で、個人ユーザーはごく少数と見られる。

 個人ユーザーが増えなければ、販売台数は増えようがない。カーシェアリングに望みを託すくらいが関の山だろう。

 全国の水素充填スポットが160ヵ所になったからといって、この状況が劇的に変わるわけではない。「水素ステーションを点から線へ、線から面へ」と、ジェイハイム関係者は意義を強調するが、160ヵ所では面とは到底言えない。長距離ドライブを担保することはできても、日常ユースを考えれば片道50kmないしそれ以上の距離を水素補給のために走るのは馬鹿らしいことだ。

 結局、FCEVを持てるのは水素ステーションの近くに住んでいる人に限定されてしまうだろう。

「充填時間の短さ」というメリットが
「待ち時間」で相殺されてしまう

 今の水素ステーションが大量のユーザーをさばくだけの能力を持っていないのも課題だ。

 FCEVのバッテリー式EVに対する圧倒的なアドバンテージは、実時間3分程度という充填時間の短さだ。ただし充填時間は短いが、連続で水素を補給できるかどうかは話が別だ。

 700気圧という高圧タンクに充填できるだけの蓄圧は瞬時にはできず、1時間あたりの充填可能台数は2台から多くて6台である。

 今は1日に1台も来ないくらいヒマなステーションが多いからさしたる問題にはならないが、数が増えてきたら「充填時間の短さ」というメリットは「待ち時間」で相殺されてしまうだろう。

 それでも、ジェイハイムの取り組みによって水素ステーションが増設されれば、北海道にはステーションが1ヵ所もなく、東北は仙台のみ。九州も大分より南にはなく、山陰から出羽にかけての長い日本海側は全滅――という現状よりは相当マシになることは確かで、まったく意義がないわけではない。