「給料は上がるんですか?」→江戸時代が教える“納得の答え”
仕事が遅い部下がいてイライラする」「不本意な異動を命じられた」「かつての部下が上司になってしまった」――経営者、管理職、チームリーダー、アルバイトのバイトリーダーまで、組織を動かす立場の人間は、悩みが尽きない……。そんなときこそ頭がいい人は、「歴史」に解決策を求める。【人】【モノ】【お金】【情報】【目標】【健康】とテーマ別で、歴史上の人物の言葉をベースに、わかりやすく現代ビジネスの諸問題を解決する話題の書『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、島津斉彬など、歴史上の人物26人の「成功と失敗の本質」を説く。「基本ストイックだが、酒だけはやめられなかった……」(上杉謙信)といったリアルな人間性にも迫りつつ、マネジメントに絶対活きる「歴史の教訓」を学ぶ。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

社員のやる気が爆上がりした“戦国武将流”マネジメントPhoto: Adobe Stock

目標の実現がもたらす“経済的幸せ”を示す

目標を実現することにより、部下たちに“経済的幸せ”を得られることを示すことも大事です。

徳川家康も、目標の実現により、多くの大名に石高が増えることを期待させました。そして、実際に家康に味方した武将たちの多くは、石高を増やすことができました。

山内一豊、出世の裏に“成果と報酬”の連動

たとえば、山内一豊(1545~1605年)は家康に味方をしたうえに、居城であった掛川城(静岡)を家康に提供した功績により、土佐一国を与えられて初代藩主となり、掛川藩5万1000石から土佐藩20万2600石へと、約4倍も石高を増やしました。

このことにより、山内家は江戸時代を通じて、徳川家に強い忠誠心をもち続けたのです。なお、この山内一豊の出世物語は、司馬遼太郎著『功名が辻』に描かれ、2006年のNHK大河ドラマにもなりました。

現代の“石高”とは、昇給や賞与のこと

現代であれば、ボーナスや基本給のアップにより、収入が増えると期待させることです。目標を実現しても収入増に直結しないとなると、慈善事業でやっているわけではないので、なかなかモチベーションが高まらないのが人情でしょう。

経営者としては、収入が増えなくても、自分たちの目標達成に尽力してくれる社員が理想かもしれませんが、それは労働搾取とまではいわないまでも、似たような発想がともなっているといっても過言ではないのです。

「収入が上がる未来」を、具体的に語ろう

単に「会社が大きくなれば、みなさんの収入も上がりますよ」と漠然とした伝え方をするのではなく、具体的に、どのように待遇が向上されるかを示すことが大事です。

ただし、注意が必要なのは、あくまで「目標が実現した場合」であることです。目標が実現しないのに、“経済的幸せ”だけ実現するということはないことも、あわせて伝えてもよいでしょう。

幸せの定義を“見える化”する

“働く幸せ”も“経済的幸せ”も、すべて明文化して、全社で共有できるようにしましょう。

私のコンサルティングでは、やはり毎年作成される経営計画に記載するケースが多いです。

経営計画に“幸せ”を明示した会社の変化

私がコンサルティングする機械系メーカーでは、経営計画に会社が考える“働く幸せ”“経済的幸せ”を明示しました。

すると、社員のなかには、「会社がここまで自分たちのことを考えているとは思っていませんでした」「目標の実現に向けて、積極的にとり組んでいきたいです」という声が上がったのです。

※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。